最終夜

お話の後に、そっと蝋燭を吹き消して

 ──七日七晩の怪談ガタリ、いかがでしたでしょうか?


 手を変え。

 品を変え。

 体験談、伝聞、都市伝説と、お話を紡いでまいりましたが、ほんの少しでも納涼感を味わって戴けたのなら、幸いです。

 ちょっとでも怖いなぁと思っていただけたのなら、語り部としてこれ以上のものはありません。

 さてはて、語りつくせぬところではありますが、手元の蝋燭も、燃え尽きようとしております。

 長々とあとを濁しますのも余韻をそぐというもの。

 これにてお別れと、参りましょう。

 それでは──



 ──あ、そうそう。ひとつ言い忘れておりました。

 とは、とても仲がよろしいようですね?

 え? なぜって? そんなにも仲睦まじげに絡み合っていらっしゃるのですから……おっと、これは失礼。野暮でございました。


 それでは今度こそ、お別れでございます。

 また来年、お会いできたら、お会いいたしましょう。

 ではでは──

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カクヨム異聞選集 ~七日七晩の子守歌~ 雪車町地蔵@カクヨムコン9特別賞受賞 @aoi-ringo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ