第38話 かくれんぼ!

 目の前の少女…夜宵はとても濃いキャラだった。


 「おーい?きこえてるー?」


 夜宵という少女はよく見ると獣国でよく見る獣人と同じように尻尾があったがちぐはぐであった。顔は人間のようであるが尻尾は鱗に覆われているよく見るとそらは蛇のような頭を持っていた。右手は虎の前足のようで鋭い爪を持っている。


 「夜宵ちゃん…で、あってる…よね?」


 「さっきも言ったー、あってるよ!…ところでなにかようなの?」


 目の前の少女はそう聞き返す。尻尾の蛇が此方を見て口を開けシャーーという声を出している。


 「…そっちのおねーさんもおんなじ用事なの?」


 俺が蛇に少しびびっていると夜宵はすぐ隣にいたシオンに話しかけていた。


 「え、えぇ、貴方は虚妖って人達の仲間なの?」


 「虚妖?うーん…分かんなーい。自分がなにかは知らないのです!(キリッ)でも、多分そーだよー?」


 夜宵がアホなのは理解した。


 「えーと、じゃあこんな板を持ってる?」


 シオンはそう言ってぬらりひょんが置いていった板を取り出す。


 「んー、あっ!持ってるよー!これでしょ?」


 夜宵は着物の袖から似た板を取り出す。とそれは柄がついてありぬらりひょんが置いていった板にも書いてある柄と繋がった。


 「これ!夜宵ちゃん!これもらってもいい?」


 シオンはすぐに食いつき譲ってもらえないから聞く。


 「いいよー、夜宵と遊んでくれたらね!」


 夜宵がそういった時、どこかからか子供の声が聞こえてきた。


 「夜宵ちゃーんあーそーぼー!」


 っと、言う声が聞こえると夜宵は聞こえてきた方へと走って行く。俺たちはいきなりのことで出遅れるがなんとか夜宵のスピードに食らいつく。


 「はーあーいー。今開けるねー!」


 いきなり立ち止まった夜宵は袖の中から黒い靄を出し灰色の少年の前に俺たちが来たときと同じ鏡を造ると灰色の少年はその鏡へ入る。すると鏡を通った少年には色がつきその少年は昨日捕まえた少年であることを思い出した。


 「…あれ?にーちゃん達も来てたの?」


 「そーだよー、夜宵に用があるんだってー。」


 夜宵とその少年はそれなりに親しそうで二人で話している。


 「あ、そうそう、板だったねー。そうだなー。じゃあかくれんぼ!かくれんぼしよう!おにーちゃんたちが鬼で私とラルフ君を見つけたら板あげるよー。」


 夜宵はかくれんぼをして勝たないと板をもらえないらしい。


 「よし、受けて立つ。制限時間は?」


 「そーだなー。1時間で、範囲は夜宵の靄が囲う中半径50メートルくらいかな?ラルフ君もそれでいい?」


 少年…ラルフはいきなり振られて困惑していた。


 「…え、あ、あぁ、いいぜ。」


 「よーし、じゃあ今からねー。目瞑って10数えてね!じゃあ、始め!!」


 夜宵が高らかに宣言する。こうして俺たちと夜宵、ラルフのかくれんぼが始まった。


 

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