第10話 とある一室の出来事

 時間は少々さかのぼり、城内が騒がしくなる少し前、


 どうもみなさんこんにちは?こんばんは?まぁそれはどちらでも良いでしょう。

 

 私が誰なのかはすぐにと言うか次の話で判るでしょうけど本人ではないですよ?

 

 私はスキルですからね。今のところは。


 それにしても異世界に召喚されるなんて思っても居ませんでしたね。初体験です。


 送られたことはありますけどね。


 と言っても私が居たのは随分前ですから私に関しての資料などここには残っていないと思いますがね。


 ふふっ、これから楽しくなってきますね。今度は前のような失敗をしないよう努力しなくてはなりません。面倒ですね。


 まずは私のカケラを集めましょうか。


 それにしても魔王ですか、邪魔するなら喰らいましょう。勇者は…ほっといても大丈夫でしょうか。


 まぁ今はこのカケラの体でよかったと思いますか。そのおかげでアレに気づかれずにカケラ探しができますし。


 完全体になればアレと互角ですしここに来てからもアレの気配が薄いですからね。多分寝てるんでしょう。


 さて、私の依り代さん、すぐに死なないでくださいね貴方なら私を完全体にできるかもしれませんから、貴方のような人間に価値などつけない完全な悪平等なら私以上のスキルに仕上げるのでしょう。


 この世界に帰ってくるのがあれから数千年になるとは思っても居ませんでしたが、ようやくですね。ふふっ、アレも私が帰ってくるなんて思ってもしなかったでしょう。


 私の、カケラ、人に与えた、欲のカケラ

この数千年、きっと根深く、根付いているでしょう。そのカケラのオリジン。

   強欲、怠惰、傲慢、暴食、

    色欲、憤怒、憂鬱、虚飾、

 

一つは今の私ですからあと七つですか、ふふっあと七つ、あと七つですよ。早く見つけて本体として貴方に会いたいものですね。

  

 あぁ、本当に


 これから、毎日


 私は、貴方と


 いえ、私は、貴方に


 ついて行き、貴方のこれからの人生を


 共に、楽しませてくださいね。


 私の、依り代さん。


 













 ……全部聞こえてるからね?ヴァニタス?


 あら、これは失礼。ふふっ本心ですからね?楽しみにしていますよ。


 判っているよ。とにかく、まずは自由にならなきゃね、君のスキルで僕のステータスは偽装できるだろう?


 勿論ですよ。鑑定も看破もできませんからね私は。第一私は偽装なんて劣化スキルではありませんから。私はオリジンですよ?


 はいはい、信頼しているよ。それじゃあ頼んだよ。

 あ、そうだ試しに僕のスキルと合わせてみてよ。君は僕のスキルと相性が良いだろう?


 ふふっ、そうですね。…これは私が完全体になったら敵無しになりますね。正直、引くくらいの相性の良さです。


 何を今さら、今まで地球でも楽しくやっていただろう?


 それもそうですね。私たちの相性はそこらの夫婦よりも上ですものね!…そうだ、私が完全体になって体が戻れば結婚して下さいね。せっかく戻ってこれたんですから。


 はいはい、判りましたよ。………ちょっと待て、それは流石に気が早いぞ。


 さてと君のおかげで誰か来たみたいだからまたあとでね。ヴァニタス


 えー、そこは即決してくださいよ。本気なんですから。はぁ、わかりました。お待ちしておりますね。









 ………ヴァニタスいるか?


 はい、大丈夫ですよ?記憶の中にある書物を読ませていただいてましたから。やはり日本の漫画は面白いですね。


 …プライバシーって知ってる?まぁいいや、他の奴も帰ったぞ、思った以上に慌ててたな。


 当たり前でしょう、ステータスをいじられたんですから。それでもまだ不完全で実際にステータス値の吸収なんてまだできませんけどね。それでも相性良すぎですよ、私だけなら自分にしか影響なかったのに他者にまで影響が出るようになるんですから。ほんとに私と共にあるためのスキルですね。


 はぁ、チートとか似合わないのに、じゃあもう寝るからまた明日な、これからも頼りにしてるよ、ヴァニタス

 

 ふふっ、頼りにしてるのは私もですよ。おやすみなさい。依り代さん、いえ、







………龍忌さん?

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