終章 初恋

「死ぬまで一緒にいようってよく言うけどさ、私たちもう死んでるし、いつまで一緒なのかな?」


「ずっとじゃない?」

「そっか……」

冴木の口元が少し緩んだ。


「ねぇ」と冴木が声をだした。


「キス、もう一回」


「え?」


「もう一回して」


「やだよ、恥ずか——」


不意に口を塞がれた。

彼女の口で。


「なに、して……」


「仕返し。自分だって急にしたじゃん」


「べー」と舌をだして冴木は笑った。


笑う彼女の顔を見れるのが、たまらなくうれしかった。


なにも解決してないのはわかってる。

それでもいい。

乗り越えて前に進まなくたっていい。


立ち止まったままでもいいから、俺は冴木と一緒にいたい。


誰も認めてくれなくても、これが俺の恋だ。


そう、これは恋の話。

俺の死から始まる恋の話。

俺は死ぬことで、彼女と一緒にいられる。


俺が死んで初めての恋。

その話のエンドロールには俺と冴木の名前だけあればいい。

他にはなにもいらない。


これは永遠に続く俺の気持ち。

死んだあとも続くんだから、終わりはない。

この感情は俺の中に永遠に生き続ける。


そうだ高らかに宣言しよう。


俺は冴木 梓を愛していると。

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死から始まる恋もある side Ghost 湯浅八等星 @yuasa_1224

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