そして、次の日になり、寺子屋に向かうと。

「青さん」

 お宮様が待っていた。

「小説の事、考えてくれたかしら?」

「は、はい」

「そう、それなら、筆名を決めましょう」

「それは、完成してからにしましょう」

「まあ、そうね」

 お宮様は、納得したようにそう言った。

「それで、何を書くの?」

「えっと、恋愛?」

「恋愛ね、いつの時代でも絵になる物ね」

「そうだよ、絵になるもん」

「それで、恋愛の経験は?」

「ないよ」

「はあ? それで、何で書こうと思ったの?」

「なんとなく」

「それなら、もう少し考えましょう」

「そうしたほうがよさそうだよね」

 とりあえず、授業を受けて、帰り、お宮様に追いかけられた。

「企画書をだして」

「ごめんなさい、まだ考え中です~!」

「青さん、しっかりしてください」

 お宮様が力強く一括していなくなると、花ちゃんは。

「青ちゃんも大変なことに巻き込まれてしまったね」

「花ちゃんがいい事だとか言うからだよ」

「ごめんね、いい事だとは思うけど、私だったら、無理かな」

 花ちゃんは、悪びれずにそう言う。

 そして、その日から、お宮様が毎日来るようになった。


 朝起きて、学校へ行こうとすると家の前に。

「青さん」

 お宮様が待っている。

「企画は、まだ出ないから~」

「青さん!」

「白熱しているね~」

 お父さんは、そう言って笑っている。

(こんなの嫌だよ~、私に才能なんてないのに)

 心の中でイライラした。


  ☆ ● ☆


 次の日も、次の日も、そのまた次の日もお宮様が来るので、夢で、おばけに追いかけられている夢を見た。

(あ~、怖かった)

 その時、ふいに。

(怖い話を書こう)

 急にそう思ったのだった。

「お宮様、怖い話を書きませんか?」

「いいわね、やっと書く気になったのね」

「は、はい」

 少し複雑な気持ちで頷いた。

「さあ、書くわよ」

「お、おう」

 ひかえめにそう言った。

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