名も知らぬあなたへ

色のない名前

泣いて

泣いて

頭が痛くなるほど

泣いて

ぼんやり

枯れた目が

うつしだすのは

忘れたいはずの名前

分かってるのに

気づけば

画面の中

探してる

だけど

先のない結び目

追いかけても

糸は宙を舞う

別れを決意して

サヨナラ告げて

笑いとばすことも出来ない

ねえ　知ってる？

交わした言葉が

街中に溢れてるの

逃げたくても

部屋の中にも

鞄の中にも

お気に入りの服にも

あなたが絡んで

まだほつれそうにない

わたしという存在

どこに行ってしまったの？

あなたの色で見えない

もう何度も

頭の中で殺した名前

だけど

心の中 跡が残ってる

塗り潰しても

あなたの色は消えない

出会ったこと

後悔するほど

苦しくて

なのに会いたいくて

泣くのも

苦しいのも

寂しいのも

わたしばかりが

変色していく

あなたはそこで

見ているだけ

なんど呼んでも

わたしの色

混ぜてくれなかった

色のない名前

わたしの力だけで結んだ糸

すぐにほどけるはずだった

なのに

ねえ

どうか

自由にして

わたしはわたしの色で

生きていく

あなたの名前

もう二度と呼ばない

思い出も

メロディも

ぜんぶ

捨てていくわ

もう耐えられない

ずるいよ

わたしもあなたの傷になりたかった

わたしの存在

あなたに痕をつけたかった

さよなら

もう決めたの

さよなら

あなたに呼ばれるたび

色づいたわたしの名前

いつか

透明になれるまで

何度呼んでも

わたしの色には染まらない

あなたの色のない名前

まだこの指は

追いかけているけれど