休憩 シュレディンガーは語りたい

ここでちょっと休憩を挟もう。興味ない人は読み飛ばしておk。

結構短いです。



量子力学というと、『シュレディンガーの猫』が枕詞のごとく飛び出して来る。

聞いた方も多いと思うが、改めて(ちょっとマイルドに)紹介させていただく。

本家『シュレ猫』は結構、刺激が強いので。


(ちなみに以下の『シュレ猫』は物理学的な厳密さが抜けています。物理学者に挑みたい方は、本家の方を調べてください。下のシュレ猫だとツッコミいれられます。)


*****


目の前にダンボール箱がある。中には猫がいる。

ダンボールの箱を開けるたびに、中の猫の状態がわかる。

あるとき開けたら猫は起きていて、また別の時に開けたら猫は寝ていた。


段ボールを開けるまで、猫がどうなっているかはわからない。

ということは、段ボールを開けるまでは、起きている猫と寝ている猫が半々ずつ存在し・・・・・・・、開けた瞬間、どちらかの猫に・・・・・・・収束するのだ。


わあ、量子力学ってふっしぎー!



シュレディンガー先生:「なわけあるか!」


*****


量子力学の不条理さを説明するため、頻繁に持ち出される、『シュレディンガーの猫』であるが、実を言うと、考えた当人は思いっきり否定派だった。


次のページで、「波と粒子の二重性」の解釈を巡って起きた、物理学会の大論争を引き合いに詳しくご紹介するが、当時の物理学者は


神はサイコロを振る派 VS 神はサイコロを振らない派


に分かれて戦っていた。


シュレディンガー先生は、上の二つのうち『サイコロ振らない派』に属しており、『シュレディンガーの猫』は


「おまえらの言い分だと、世界はこんなわけわかんないことになるんだぞ!」


と、『サイコロ振る派』を論破するために提出された思考実験だったのだ。


**********


量子力学を扱うSFでは、結構な割合で出て来る『シュレディンガーの猫』。

読んだ人は思う。量子力学って、ふぁんたじーなんだ、と。




論破するために持ち出したはずなのに、いまや、相手の主張をわかりやすく説明するために、自分の説が使われてしまっている。


……憶測に過ぎないが、もしかしたら、


“なんでこんなことに———”


と、シュレディンガー先生は思っておられるかも知れない。

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