第6話 目覚め

『物騒な話ねぇ…。』

『今夜は気をつけないとな。』


「ん…?」


(なんだこんな真夜中に。)


そう思いながら目覚める少年。

なにやら外が騒がしい。

少年はまだ眠い目をこすりながらベッドから起き上がる。

外に出るとすぐに少年の近くに村人の1人が寄ってきた。


「勇者様!ラブリヴァ城の城下町で狼男の目撃情報が来ているのですが…。」


そう、この少年は勇者である。


「それは…。被害者は?噛まれただけでも狂犬病にかかってしまうとまずいですからね。」


「わかりません…。ただ死者はまだいないようです。このヌオーネ村まで来ないでしょうか…。」


村人は皆心配そうな顔をしている。


「……とりあえず今夜と明日の晩は私たちに任せてください。」


そう言って勇者は仲間を呼びに行った。


「そういう訳でとりあえず二日間このヌオーネ村を警備することになったからよろしくな。」


勇者は3人の仲間に今の状況とやるべきことを説明した。

「んーわかったけど具体的にどんな対策を?」


始めに質問したこの男は


『アルド・ユー・ジェスター』


彼は人間の体に頭には二本の捻れた角、後方には長い尻尾があり所々に赤い鱗を持っている「ドラゴニュート」。

つまり「龍人」である。


「それは考えてある。アルドはこれを使って戦ってくれ。」


勇者はそう言って一本の剣をアルドに渡す。


「ん?なんだこれ。剣なら俺も持ってるぞ?」


そう言って自分の愛用するオリハルコンの剣を見せる。


「いや、確かにそっちの方が硬いんだが、狼男には銀が有効だからな。」



「それ銀でできているの?」


そう質問する女のエルフは


『ローザ・テヴィス・ゴドイ』


整った顔立ちに後方に伸びている尖った耳、長く金色をした髪を持つその姿を見た誰もが美しいと声を揃えて言うだろう。


「そうだよ。ローザはこれを。」


そう言って矢を数本渡す。


「これも矢の先が銀でできてるからうまく使ってくれ。」


「俺はどうすればいい?」


そう聞くこの男は


『ブラント・オスカー・ノーブル』


勇者と同じ純粋な人間である。


「タロースたちを他の村や町に送って守ってほしい。ここだけ守る訳にも行かないからな。」


「わかった。じゃあもう行かないとな。」


『気をつけてー。』


三人はブラントを見送る。


「よし。じゃあ俺らも始めるか。」


そう言って立ち上がる勇者。


「なにかあったら無理して戦わないようにね。ジン。」


「お前いつも無理するからなぁー。」


二人から注意をくらう勇者。

勇者は、『一ノ瀬 仁』は異世界からの来訪者であった。


「わかってる。」


そしてジンは所定の位置へ向かった。



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