-8-「結構気持ち良いもんでしょう」
⑧
ヒカルたちは小屋の外に出て、花畑の
「さて。
「おっ、
先ほどのジャンケンの勝利者はツヨシだった。
ツヨシはチョキを出し、ヒカルとナツキはパーを出してしまった。
勝利が確定した瞬間、ツヨシはそのままチョキ《Vサイン》を二人の前に
なにはともあれ、手から炎とか雷やビームとかを出せるような魔法を教えて貰うことになったのだ。
「なにが電撃よ。そんなの必要無いでしょうに‥‥」
頬を膨らませてブツブツと
「それじゃ、さっそくやりましょうか。ヒカルたちはそこに寄って集まって動かないでね」
「トンドロインファーノ・コーレキティブ・フォルトプレーナ・ドーニ(雷の子たちよ、ここに集まりて、この者に力を与えよ)」
「おおっ!」
「きゃあっ!」
その光景にツヨシとナツキが大きな驚きの声をあげてしまう。
魔法陣の中に、いくつもの光の玉が出現し始め、それらがヒカルたちに集まりだす。
「ちょっとピリッとするからね、
「えっ?」
何が?と質問する
次々と光の玉が触れてきて、その度に「痛っ!」と
我慢できるほどの痛みではあるが、何度も受けるには
「はい、終わったわよ。これで、雷撃の魔法が使えるようになったわよ」
フラフラとなりながら起き上がるヒカルたち。
「あ、あれで?」
「そう。試しに、あそこにある木を狙って使ってみなさい。魔法を発動させるためには、人差し指でも立てて、宙にマルっと円を描いて‥‥トンドーロパーフィ《雷撃の矢》!」
説明通りの動作を取った
「おおっ! すっげー!」
ツヨシが
「とまぁこんな感じよ。やってみなさい」
「よーし! えっと‥‥人差し指で円を描いて‥‥」
雷光は木には命中しなかったが、魔法を使えたことにツヨシは
「すっげー! 本当に使えたよ! すっげー!」
「まぁ、初めてにしては、そんなものよね。練習すれば命中するようになるわ。ほら、ヒカルたちもやってみなさい」
続けてヒカルとナツキも呪文を唱えると同じく、雷光が放たれる。
あっけなく魔法が使えたことに二人は
「ま、魔女さん、使えた! 魔法が使えた!」
「ふふ、結構気持ち良いもんでしょう」
ツヨシと同様にはしゃぐヒカル。かたやナツキは電撃がほとばしった自分の指先を見つめ、
「ねぇ魔女さん。どうして、この魔法が使えるようになったの?」
「そうね。簡単にファンタジーに説明するとね。さっきの光の玉は雷の
魔女の説明にナツキは自身が経験した思い出が浮かんだ。
「なんか、あれね。理科の授業で習った
その言葉にヒカルが反応する。
「ああ、冬の時に理科の授業の実験でやったやつ?」
「うん。ほら、あの実験で私たち身体の中にある静電気を
ヒカルたちは去年‥‥三年生の冬に理科の授業で静電気について習っており、その事を思い出したのだった。
「あー、あれか‥‥」
ツヨシは
それよりも
「おっ、そういう知識と経験は有ったのね。
少し
「な、なるほどね‥‥」
と
「ただ、何発でも使えるはずがないから注意しておくようにね」
「使えなくなってしまうの?」
「
魔女が話している最中でもツヨシは
「確かに凄いみとは凄いけど、
ブツブツとボヤいていた。そして視線を魔女に向けて、直訴する。
「魔女さん、今度は空が飛べる魔法とかを教えてくださいよ!」
「そうね、気が向いた時にね。さて、そろそろお開きにしましょうか。時間も時間だし」
「時間?」
ナツキは自分の携帯電話を取り出し、時間を確認する。
「まだ三時ちょと過ぎですよ。もう少しここに居ても良いでしょう?」
それにもう少しここに滞在して魔法を教えて貰いたかったが、
「ダ~メ。それにね、ここはちょっと時間の流れがおかしいのよ。ヘタしたらおばちゃんになっちゃうし、もしかしたら、変な影響を与えてしまうかもね。とう言う訳だから、さっさと帰りなさい」
何がどういう訳なのか、魔女が言ったことをナツキたちは理解することが出来なかったが、
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