螺旋の階段

冷凍氷菓

第1話

私は階段をゆっくり降りていた。長い螺旋階段だ。

 どこまでも、どこまでも下へと続いて行く。

私はなぜここにいるのかわからない。

気がついた時、私はすでにこの階段を降りている途中であった。

  周りの壁にはたくさんの写真んが貼ってある。

その一つ一つを目を凝らして見る気も起きず、何となくしか見ない。だが、歩くのにもいい時間が経、暇になってくるとその一枚を見た。

誰かが笑っている写真、何処かの家族写ってる写真。一人泣いている写真。どれも同じ人物が必ず写っている。

 それは男の子だ。帽子をいつもかぶっている男の子。私は歩きながら、写真を眺める。

そして気になった写真を手にとる。やはりあの男の子が写っている。どこかで見たことがあるだが私は思い出せなかった。

忘れてはいけない誰かな気がする。それを忘れている。なぜだろうか。

 静かな空間だ。薄暗く、居心地のいい場所だ。明かりは小さなロウソクばかりだ。夜の星々のよう下も上も輝いている。

  歩いているうちに私は疲れていないことに気がつき足を止めた。

まるで、私の身体はとうに滅び、魂だけが浮遊しているようなそんな感じがした。

 螺旋階段は円形の穴に沿って作られており、中央は何も無い。

 私は中央の何も無いところから下を覗いた。真っ暗闇に無数の光が見えた。おそらくロウソクの明かりだと私は思う。

 もしかしたら私は死んでしまったためにココにいるのではないか。

再びそう考え、ならばと。私はこの中央から下と向かおうと思い、足を一歩踏み込んだ。そして私は跳ぶのだ。

 その瞬間時間が止まったように感じ、突然時間は早送りになっていく。私はどんどん下へ向かって落ちて行く。

 時間や空間を何度も超えてゆくような、今までかつて感じたことの無い感覚だ。

 気が狂いそうになるのを必死におさえ、ついに地面が見えた。

 この身体のような浮遊体は地面に叩きつけられ、五メートルほどバウンドした。そのおかしな感覚もう忘れられないだろうと私は思った。

 私は地面に仰向けに倒れていた。さっきまで落下していた宙を見て私はその光景に息をのむ。とても美しい天の川だ。

 ここが何処かはわからない。だが、この光景はたしかどこかで見た覚えが。

「__さん。聞こえますか。__さん。聞こえたら教えてください」

 私は目を覚ました。マスクを下男の顔、明かりがまぶしく照らす。

 そうだ。私は手術を受けていたのだ。長い眠りから覚めすべてを思い出した。

 私は手術を終え、手術室から運ばれる。その途中で帽子をかぶった小さな男の子が心配そうに見ている。

「パパ」

そうだ。この子は私の息子だ。

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螺旋の階段 冷凍氷菓 @kuran_otori

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