第5話 欲望に忠実な宵森 縁

学園島居住区の一つのアパート。表向きは星蘭高校と契約しているアパートだが管理はスベェル財団の傘下会社である。

そのアパートの107号室に幸城 司はいた・・・正確には107号室の地下の武器庫の中だが。

武器庫の中の机に向かい、銃の整備をしているが、思考は今日伝えられた護衛依頼の方に向いていた。

学園島には、3つの高校があり、共学で学力は中の上くらいの星蘭高校。

世界TOPレベルの次世代の紳士、淑女を生み出すをコンセプトとした聖桜館男子高校と聖華院女学館高校。

学園島にある施設、設備は今の世界レベルの数世代先を行っており、研究者ならば、その施設を存分に使える聖桜館か、聖華院を選ぶはずである。

「まぁ、僕はあんなプライドの高い連中ばかりがいる高校なんて行きたくないですけどね・・・」

司の場合は、そんな連中に囲まれた生活の中で、いつ何処で異能の力と夜の顔がばれるわかったもんじゃないと言うのが一番の理由だが。

「宵森さんも、そこら辺が理由で星蘭高校を選んだのかもしれないですね・・・」

「しかし、共同研究なのに一方からの漏洩リーク・・・アイシャ・ゴールドマンだけが持つ成果があり、それをイギリスとクルセイドが開発している?」

「それにカドケゥス・・・あの時のメンバーが生き残っていた?そんなはずはない・・・僕が殲滅したはずだから・・・それにもう僕は殺人機械には戻らない・・・」

司は、ぐるぐると思考の渦に飲まれ、結局は一睡もしないまま学校に行く羽目になった。



「おはよう~」「オースッ」と気だるそうな挨拶が、飛び交う中、教室に入った司はいきなり襲撃され髪をいじられ始めた。

犯人は・・・宵森 縁。一心不乱に髪を梳かし本人の了承を得ないまま髪型を変えていく。

隣では「だめだよ~縁ちゃん~」といいながら、リボンをつけようとする舞浜 明日迦。司はこの時点で諦めてされるがままにになった。

HRでまたもや、混沌した時間を作り、クラスメートから男の娘という不名誉な称号を頂戴した司は、その発端の二人と昼を学食で奢ってもらい気に入られ、何故かアドレス交換までしてもらった。


その日から、数日間は何事もなくすぎ、4月15日を迎える。

宵森 縁にとっての長い一日が・・・

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