ナルシシズムと融合する365の短文

宮部宗介

1


「君より早く死にたい」


何故、と僕が問うと「君がいなくなってしまったら、きっとつまらないから」という。


何故つまらないの、 と僕が問うと「だって、こうやって取り留めのないお話さえ出来なくなっちゃうじゃない」という。


僕と話すのは好きか、と僕が問うと「とっても好き、でも君とこうやって手を繋ぐのはもっと好き」という。


可哀想に。


僕の手の骨格を確認するように触る君。

君が愛しそうに握る手で、僕は晩御飯に使う野菜をどう手早く処理するかばかりを考えている。

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