ちぇっ!!(改稿版)

 君が何を言おうと、オレは変わらないだろう。今ここにいる、それがオレの全部だから。

 君が無理ばかりして、理不尽な事ばかり強いられても、それら全部が「自分」なんだからって、言ったように……。

 似たもの同士だね。オレもおそらく変わらない。


 変わり続けるものが不変なのだと君は言った。

 数えきれないほど、その瞬間はあったけど、やっぱりオレは変われなくて。

 美しく変わってく君をまぶしく見てた。


 ――きっと心が麻痺してるんだ。

 オレはそんなふうに思う。

 ――だって世の中は忙しすぎる。

 人の心を、感動をいちいちかみしめていられないのと同じ。

 哀しみも、後悔も、苦しみも。全部忙しさの向こうにある。

 きっとどうしようもないのだ。


 ごめんね。

 オレの感情は「好き」の向こう側。伝えられないまま心の底にわだかまってく。

 君が愛しすぎて、立ちすくんでる。

 そんな臆病、ふりきってしまえばいいのに、遠いトラウマがそうさせる。

 大好きだよって、のばした手を噛まれたらどうしよう? 君は噛みついてきたアイツの犬じゃないのに。


 拒絶されたらどうしよう?

 不安がってるわけじゃない。強がってる自分が情けないだけ。

 そうして閉じこもって、凍り付いた心を君という春風が溶かしてく。

 それが、オレにはどこか慣れなくて。


 ああ、こんなことを思うのは、君にだけになればいい。君がオレだけの君になればいい。

 そっと心がささやくけど、オレはオレ。

 やっぱり変わらないんだ。

 オレはそのとき、やっとわかった。君にそれを知ってほしかったんだと。


 伝えに行こう。

 走って、くぐり抜けて、飛ぶように速く。君のところへ。

 だけどああ。

 夜の街並み。なんということか、オレは補導されちゃったよ。皮肉だね。



               END

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