第二.五日目 断片から書く

2017年7月9日「ベルを鳴らして!」

「もう、TELしてこないで!」

 私から言った。私から切った。アイツとの最後の約束……。

 わかってる。アイツはもう自分からアクセスしてはこない。そういうヤツだから……。わかっててやったんだから、私が悪い。


 でもだけど、一人で待ってる私。どうしてもこたえてほしい……。

 私だけを見てくれなきゃイヤ。そうわがまま言って、涙うかべた私をどうしようもないって表情で見て、

「見てるよ……」

 あなたは言った。

 それが本当なら、もっと上手に笑えるのに、現実は……。


 だれかがそそのかしたんじゃない。私。私だけがあなたを信じられなくて、泣いて。

 困らせて、でもそっとなぐさめて欲しくて。


 バカな私。あなたからの言葉が欲しくて、ずっと待ってる。

 今さらな口説き文句を考えてるの? 私がさびしいってわかっているの?

 さよならの返事なんてないのよ。Good-bye……。


 散った花びら、唇にあてて、嗚咽をのみこんだ。明日はくるよね。


 消えた端末の画面にそっと触れて……。


 ベルを待つ。愛してる……。



               END

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る