2017年7月8日「ナイアガラ」

 滝ではない。枯れた土地で実をつけるという、生命力あふれるぶどうの樹の一種だ。


 それが窓の下に植えられているので、雨戸を開けても光が部屋に入ってこない。


 梅雨の雨を遮ってくれるし、泥棒除けにもなるし、なにしろ夏は涼しい。のだが……。


 もし火事が起きたら、出入り口以外のすべてが閉ざされているので……逃げられない。


 その上、果実の匂いに惹かれて蜂がやってきて網戸に巣を作ろうとする。由々しき問題。


 茶色のとっくりみたいな土の塊をスコップでこそぎ落とした。


 しばらく、何の音さたもなかったが……蜂はまだ、庭の菜園に来るし、この頃では蚊が出る。


 同居している母に打ち明けると、

「あんたの血がおいしいんでしょ」

 ウナコーワを塗ったくりながら私は脱力した。


 足の甲って刺されると隔靴掻痒なのよ……。



              END

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