ミサエちゃんとオマエくん

卯野ましろ

パーカーからの!


「暑い~」

「ここは涼しいだろ」


 こことは、オレの部屋のことだ。オレと幼なじみのこいつがいるこの場所には、客のために用意された冷気を漂わせている。


「この暑い日に、パーカーなんて着て外に出るから暑いんだよ。しっかり調整しろ」

「ふーん。じゃ、脱ぐ」

「お、おう…」


 脱ぐって……。


 その表現は誤解を招くぞ、というツッコミは絶対に表に出さない。


「あー暑い暑い」

「だから涼しい……って、おおおおいっ!」


 パーカーのチャックが下がった後、露わになったのは……。


「うるせーよオマエ」

「何だよその格好は!」

「キャミソールだよ。分かんないの?」

「人んち来て、そんな恥ずかしい姿を見せるな!」

「開いて早々、生のボインボインじゃないことを偉いって褒めろ」

「褒めるもんか!」

「何だよ、ついこの前までは一緒に風呂入ってたっつーのに」

「何年前の昔の話だよ!」

「もうあたしのマッパなんて知っているだろうに……」

「おい、逆ハラで訴えるぞ!」

「何オマエ、あたしにトゥンクしてんの?」

「っ……、こいつ!」


 ああ、そうだよ!

 トゥンクしてるよ……。

 オレはお前が……ミサエが好きだよ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る