えっ?未来とか怖くない?

第45話 手相占い

「何を真剣に見てるんや?」

「ん~手相…」

「手相?しわで占うやつ?」

「しわって…」

「手のしわちゃうの?」

「いや、そうなんだけど…」

「顔のしわで占いできたらおもろいのにのー」

 BAN!!

「なんでやねん…」

「なんとなくよ…」


「で?どないやねん」

「うん、霊感が強いらしい…」

「オマエ…なに言うてんの?」

「いや、親指のココに目みたいなしわが…」

「ちゃうやん!! オマエ、目の前にいる猫はただの猫ちゃうんやで」

「うん…」

「月イチで怪奇特集体験しとるやん、歩くオカルト月刊誌やん、今更、霊感とかそういうレベルちゃうやろ?」

「うん…」

「他には、なんぞおもろいことないんかい?」

「運命線が…見当たらない…」

「なんやねんソレ」

「無いの…運命線が…」

「先が視えんちゅうことやろが」

「エグッ…」

「泣くなやー綺璃子キリコええことあるって、なっ」

「うわ~ん」


 夜更けに部屋で騒ぐバカ…。

 テーブルの上にはワインの瓶やらビールの缶が転がっている。

 散乱した、おつまみ、冷めたピザ…。

 手書きの旗が天井からぶら下がっている。

『1週間よく節約しました』

 節約期間を無事乗り切った結果、今日は呑もうと決まって…飲み過ぎて…現在、泣き上戸が発動した綺璃子キリコ

 なんか三十路でフリーターで、色んな何かが溢れ出ちゃったのである。


「ほれ、綺璃子キリコもうすぐアレが始まる時間やで」

「ふぁうん…アレ…」

「せや、アングルメーターや、オープニング始まるで」

「観る…」

 深夜でコアな人気を博しているアニメ『Angle Meterアングル メーター』。

 スカートの中で性的興奮がMAXになると瞬間移動できるヒーロー参上!

 第一話を観て、なんとなくハマったのである。

「おとなしくなったの…」

 テーブルに零れたワインやらビールは獏のターンセブンが吸い込んでいる。

「掃除機みたいやけど、酒以外は吸わんのやな…微妙や…」


「面白かった」

「ほな寝るか」

「うん…寝る…」

「明日は『もしも刻を戻したならば……』があるのー」

「録画する」

「切ない恋愛ドラマやからのー、1話たりとも見逃せんで」


 。―――。

「おはようございます…電話中でしたか…」

「はぁ…いえ…そういうわけではないんですけど…いえ…まぁ…解りました」

「なんや浮かん顔やのー、不破ふわはん」

「えぇ、すいませんが、すぐ出かけます」

「今から?」

「はい、事情は車の中で話します」


 。―――。

「で…なんやねん」

くだんが産まれたそうです」

「にゃっ!!」

 イプシロン(仮)が思わず鳴く。

「くだんってなんですか?」

「確実に起こる未来を予言すると言う妖怪です」

「それが大変なんですか?」

「大概、凶事の前ぶれに産まれるんや…」

「凶事…悪い事が起こるってこと?」

「えぇ…大飢饉や戦争を予言したらしいですね昔は…」

「戦争ですか…嫌だな~アタシ」

「で、何を予言したんや?」

「いえ…まだ何も…昨夜産まれたようですが…今朝、電話をもらいまして」

不破ふわさんって、有名なんですか?その妖怪がらみで?」

「いえ…祓い屋も何人もいますし、特別有名ってことはないのですが」

「でも…今日もN県まで行くんですよ、全国的に有名なんじゃないですか?」

「それは…半年ほど前にホームページを立ち上げましたから、それでなんじゃないかと」

「そのうちSNSも始めそうやの~」


 。―――。

「長旅やったの~蕎麦が有名なんやて、帰りに蕎麦食べてこか?」

「呑気ね…戦争が起きるのよ…もうドラマもアニメも観れないのよ…」

「まぁ戦争と決まったわけではありませんけどね」

「しかし…緑豊富なトコやで、緑色しかないね~風景がパノラマグリーンや」

「そうね、絵の具の緑が異様に早く減るでしょうね」

「ビジリアングリーンって、何緑なんやろね?」

「ブラジリアンワックスみたいな感じじゃないの?」

「絵の具にムダ毛処理が混ざんねん!!」

「塗るってトコには共通点があるわ」

「剥がさないやろが…絵の具は塗りっ放しやろが」

「乾かして剥いだら、画用紙の表面を持ってくるわよ、ブラジリアンワックスみたいなもんじゃない」

「お前のムダ毛処理…時間掛かるもんな~、ベリベリ剥がしとるもんの~」

 BAN!!

「そのうち眉間禿げるちゅうねん…」


「アソコですね…」

「そんな不破ふわさん、アタシ、アソコそんなに濃くないですよ…むしろ薄いほうで…そんなブラジリアンワックスを使うのは足とかだけで…」

 アタフタする綺璃子キリコ

「なに照れとんねん…着いた言うとんねん…アホ」

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