第4話 デビルサマナー

「うむ…たしかに…頂戴した、では去らばだサマナー」

 シューッと消え行く魔神の手に、アタシの勝負パンティ。


「さて…帰りましょうか、片づけてね」

 オーナーは下へ降りていく。

「あの~、コレは?」

「あぁ…2・3日は動けませんよ…帰るときに警察に電話しておけばOKです」


「えぇ…はい…ストーカーは警察に引き渡します…はい…お帰りになって大丈夫ですよ…私のことは内密にお願いします…えぇ…はい…振り込みで構いませんよ…では…」


「さて帰りましょう…」

「はい…」

「なにか食べていきますか?」

「はい」


 ファミレスに入って聞いてみた。

「あの…アレは?」

「あぁ…説明より体験の方が早いかなって思いましてね。じゃあ日給と~実務手当です」

 オーナーは3万円をアタシにくれた。

「いいんですか?」

「えぇ…店番と受付で日給1万円、現場手当で1.5万円…5千円は…その下着代ですかね」

「ありがとうございます」

「相場わからないもんで…足りますか?」

「はい…パンティ代は赤字ですけど…大丈夫です」

「そうですか、良かった…で、どうですか?こういう仕事ですけど、やってみませんか?」

「えぇ…アタシで出来るんですか?」

「出来てたじゃないですか、資質はありますよ…あの張り紙は、霊感が強い人しか視えません、色もね赤に近い色に視えるほど強いんです」

「あ~そうなんですか~」

「オーナーあのですね~」

「あぁ…オーナーはやめてください、僕は不破ふわ レイと申します」

「不破さんですか…そういえば名前聞いてませんでしたね」

レイでいいですよ」


 まぁ…レイさんの話によると…。

 悪魔召喚士デビルサマナーというらしい。

 昔からある職業で、悪魔、妖怪、天使、幻獣と契約を結び、揉め事を解決するみたいな感じで仕事しているようだ。

 昔は、紙媒体で保管にも苦労していたようだが、時代が変わってデジタル媒体が主流になっているのだそうだ。

 あのレンタルDVD店も、表向きだけで、悪魔召喚士デビルサマナーは裏稼業で本業ということだ。

 要は警察なんかに相手にされない揉め事を処理する、何でも屋と解釈してほしいと言われた。


「でも…アタシ霊感なんて無かったけどな~」

「あ~それはね、コイツのせいだと思うよ」

「へっ?」

 レイさんが肩のあたりをヒョイッと摘まむようなしぐさをした。

「コレ…視える?」

「はい…視えます…視えてはいけないものが見えちゃってます」

 レイさんの指先でブラ~ンとぶら下がっているチッコイ猫?

 二本の尻尾がプラーンと揺れている。

「かわいい…」

「なめとんのか!! アバズレが!」

「アバズレ?アタシに言ったの?あの人じゃなくて?」

 思わず、隣のテーブルの、いかにもな女を指さしてしまった。

「オマエじゃ! ボケッ!」

「口の悪い猫又ですね~、コイツがね憑いてたんですよ」

「はい?」

「なにか覚えないですか?祟られるようなこと」

「ん…とくには」

「あるやろがー!! 妖怪ヒトの首飛ばした挙句に、変な角度で固定しくさって、こんボケが、ホンマに、背骨引き抜くぞ!!」

「あ~、あのときの…お地蔵様」

「覚えあるんですね…まぁ…祓ってもいいんですけど…」

「えっ…ワシ祓われるん?嫌やん…せっかく自由になれたのに…嫌やん」

「どうします?放すと…ロクなことしなさそうですけどね…」

「祓っちゃいましょう」

「No-!! いい子にしてるやんかー、おとなしゅうしてるから、祓わんといてぇなー」

「ん~コレがいないと…霊感無くなるんですよね~」

「そうですね…」

 …………「はぁ~」


「じゃあ…また明日もよろしくお願いします」

「うん…気を付けてね、まぁ、彼もいるからね大丈夫だろうけどね」


 アタシは、猫又に憑りつかれることにした。

綺璃子キリコ、よろしゅうな、ところでさむないか?」

「ありがと…心配してくれんの?」

「パンツ履いてへんのやろ?」

「祓うわよ…」


 こうして…アタシはとりあえず収入源を得たのである。

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