第14話 日常の日々

誰かが言った。「働かざる者食うべからず」という言葉を。


ならば、この言葉に従うのなら働いているものは好きなものを食っていけるのか?


いな!そんな事は決してない!現に現在の大人の何割かは働いているにも関わらず自分の好きなものを食べてはいない。


この事から働いても好きなものも食えず、下手をすれば何も食えない状況にも陥ってしまう可能性がある。


ならば!働かないで旨いものを食べられている!この学生という身分こそ!最も優れた職業ではないか!


「ねぇ、お兄ちゃん?そろそろ、出掛けないと遅れちゃうよ?」


日差しが窓から照りつけ始めたある朝である。


「それもそうだな。あと少ししたら出掛けるよ。」


そう言うと俺は立ち上がり食べ終えた食器を片付けた。


「あ!そう言えば昨日頼んでおいたことをちゃんと実行しておいてくれよ?」


「うん。わかってるよ。それよりも!清水さんがさっきメールしてきて早く出て来いだって。」


怪訝そうな顔で此方を見てくる水無月は携帯を突き出しそう言った。


「はい、はい。今行くって伝えといてくれ。」


「全くお兄ちゃんはこれだから!レディを待たせるなんて最低だよ!」


あいつがレディ?どちらかというと男勝りではないだろうか?


そう思いながら着替えて玄関を出た。


「ちょっと!遅いわよ!早くしなさいよ!」


「朝からお前は元気なことだな。」


「あんたが待たせたからでしょうが!」


現在の時間は6時をちょっと過ぎたところだ。


なぜこんな早い時間に登校するのか。それは最後の打ち合わせのためである。


「さっさと言って打ち合わせしないと時間が無くなっちゃうんだからね!」


「はは、そうですね。君たちみたいな偽ボッチとは違ってガチボッチの俺はクラスからハブられ先生からもハブられる。」


そう。正直言って今日俺は登校するはずではなかったのだ。


だって!だって!俺本当は何の競技にも出ないからである。


自分の通っている学校は地域交流の場を設けるために体育祭を地域交流イベントにしたのだ。


だから、他校に比べて比較的大きい行事である。


「それにしても暑いわね。何で7月にわざわざやる必要があるのよ。」


ま、その意見には同意する。正直言って暑い。


「まぁ、今日一日頑張ってくれ。俺は試合まで休んでるからさ。」


俺が清水の肩を叩きそう言うと清水は俺の脛を蹴っ飛ばした。


「っ!何しやがる!」


「何かムカついたから蹴っ飛ばした見た。」


この暴力女め!


「ほら、さっさといくわよ。学校で大鳥君が待ってるから。」


「ああ、そうだな。大鳥が待ってるから早く行かなきゃだな。大鳥が待ってるから!」


大事だから二回言ったんだよ!大事だからね!


俺は足早に学校への道を歩いていった。

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