リミット・ブレイバーズ

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1 メモリーズ・バックアップ

激脈変化、極一閃ごくいっせん

静かに、かつ激しく放たれた斬撃。それは、強固な外殻をもろともせず斬っていく。

そして、魔導獣は倒れる。

「グワォォォォ・・・」

うめき声を上げ、地に崩れる。意識が途切れる。

そこにいた少年は、一息つこうとその場にしゃがみこみ、持ってきたスポーツドリンクを一気飲みする。そして、剣を剣帯に収めようとする。

が。

凶悪な視線を感じ、立ち上がる。

そこには、さっき斬った、起き上がった魔導獣の姿があった。その目は怒り狂っている。

「まだ、やるのか・・・」

外殻は削げ、欠けた鱗からは緑色の血が溢れ出ている。瞳には大きな傷が縦に走っている。

魔導獣は、苦しみながらもしっかりと少年を見つめていた。

まだ、殺せていなかったのだ。

少年の方はといえば、激脈を使用したからなのか相当疲れているようだ。もう一度同じ技を放つのは無理だろう。

剣を構える動作でも疲労はさらに増す。攻撃をかわし切り、仕留めるのは今の体力では至難の技だ。

そんな消耗しきった少年に、魔導獣が襲いかかる。

そこから先は────思い出せなかった。

少年、ハディ・クリゼイドはその続きを思い出すことができなかった。

ふと、そこでハディは今までの記憶を思い返してみる。

今の記憶。

嬉しかった記憶。

辛かった記憶。

悲しかった記憶。

そして、記憶───────────。

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