7つの怒れる曜日たち

ちびまるフォイ

神「曜日ひとつ決めてくんね?」

「というわけで、曜日リストラ会議をはじめる」


火曜日はそう切り出したので、全曜日が驚いた。


「ヘイヘイ冗談じゃないZE! リストラなんて聞いてないZE!」


「金曜日の言う通り……です。僕らは……7つそろって1週間……」


「月曜日、聴いてくれ。でもリストラしなくちゃいけないんだ」


慌てふためく曜日たちの様子を土日は涼しい顔で眺めていた。


「ふふふ、愚かな奴らが小さなことで悩んでいるよ、土曜日」

「そうだね日曜日」


「リストラなんてかわいそうだね。そう思うよね、土曜日」

「そうだね日曜日」


「せいぜいあがいて平日が1つ減ればいいね、土曜日」

「そうだね日曜日」



「んだとコラァ!!! 水曜日バカにすんじゃねぇぞ!!!」



「水曜日が怒ったよ、土曜日。おお怖い怖い」

「そうだね日曜日」


どこか他人事な土日。

それもそのはず。間違いなく誰からも求められている曜日だ。


「それで、リストラされるべき曜日はどれがいいとデータはあるんですか?」


「ない。私たちに与えられたのは曜日をひとつ決める権限だけ」


「だったらみんなから嫌われている月曜日で決まりっしょ」

「そうだね日曜日」



「あああぁぁぁ……やっぱり僕ですよね……すみません……死んできます……」



「ちょっと待てやコラァ!! そいつはちげーだろ!!!」


「水曜日……」



「出たよ出たよ。水曜日の十八番。"週の真ん中での反骨精神"ってやつ」

「そうだね日曜日」



「月曜日がいるから、俺ら平日への風当たりが緩和されてんだろ!

 月曜日がいなくなったら火曜日に矛先が変わるだけだ!」


「一理ありますね。私の計算でも同じ結果が導かれます」


「YOYO。それじゃどうするんDA。ハッピーエンドをどうするYO」


「金曜日がいらないんじゃない?」

「そうだね日曜日」


「ウェイトウェイト! 金曜日はみんな浮かれて金使う♪

 俺が経済回してる♪ 曜日のなかで一番重YO!」


「じゃあ木曜日?」

「そうだね日曜日」


「僕が不要だと? 面白い冗談ですね。なんのデータをもとに言ってるんですか?

 木曜日があるからこそ金曜日の支出につながっている。

 僕がいなくなれば水曜日→金曜日になって浮かれる隙もありません」


「みんな……もう辞めようよ……僕がリストラされればいいだけだから……」



「で、結局だれをリストラすればいいのよ」

「そうだね日曜日」



「日曜日……! そうだよ、日曜日だよ!」


火曜日の言葉にはじめて日曜日が取り乱した。


「ちょっ……本気!? 休日をリストラするの!? バカじゃない!?」


「日曜日なんて土曜日の劣化だろ。月曜日への不安をチラつかせながら過ごすなんて」

「まーな。日曜日がなくなって平日に休みが入ればちょうどいい休憩になるだろ」

「僕のデータからは支出は日曜日より土曜日のほうが勝っています」



「待ってよ! ど、土曜日はどうなの!? ずっと一緒だったじゃない!」


「そうだね。日曜日がいらないね」



「え゛」



「日曜日の休みより、たまに入る平日の休みのほうがずっと嬉しいもん」



「「「 賛成多数により、日曜日に決まりました!! 」」」


曜日たちは相談というか口論の結果、日曜日を選び出した。





それを受けて、神は日曜日以外をすべてリストラした。


「一番いらない曜日だけにすれば人間どもはきっと苦しむだろう」




ようこそ、週休7日制のパラダイスへ。

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