ある傾奇者のBLACK HISTORY カクヨム『すべらない話』用

mk-2

 ある傾奇者のBLACK HISTORY

 俺の名は、ヒロシ。ジョー=ヒロシだ。


 この街で一番の『傾奇者かぶきもの』になるため……闘いの真っ最中ってわけだぜ。


 ――『この街』? 知らねえのか。じゃああんたも新人だろうな。


 この街は『カオスシティ』。その名の通り混沌としてて、有象無象が跳梁跋扈し、あらゆる物が混在しつつも不思議なバランスを保ってる。


 この街で、年に一度の『祭り』がある。


 己の、あらゆる手段を用いて『傾奇かぶき』を披露して、誰がその年の最高の傾奇者かを決める祭りさ。


 傾奇が具体的に何なのか、説明は難しい。


 要は他人がやらないような行動、生き様、信念をダイナミックに見せ付ける、その瞬間に発生する精神的なエネルギーの多寡と深度で優劣を競い合う……ある種のバトルだぜ。


 粋な行ないや善行でも発生するが、『他人がやらないような行動』ってんなら、GTAも真っ青な悪行でも発生する。


 清濁併せ呑む愉しく、そして危険な街、そして祭りなんだ……。


 ――あ? なんだあんた、急に腰元からナイフなんて抜きやがって……それ、俺に向けてんのか? 


 ……ははぁ。早速、悪行でもって傾奇を披露しようってわけかい。


 いいぜ。なら、あんたにはとっておきを見せてやる。


 俺の最高で最悪な『BLACK HISTORY解放』……その恐ろしい傾奇をな! 何度も拝めるもんじゃあねえ。とくと味わいな! 


 ……あのさぁ。友人の話なんだけどさあ……某笑顔動画で歌い手に専念するぜ、アイルビーバック! とか言って……大学もバイトも辞めちまったんだよ〜……もちろん何年経ってもアイルビーバックして来なかったことは言うまでもねえさ……。


 あとさあ……これは俺がバイトしてた時のことなんだけど。俺、日本語が不自由でさあ。


 外回りから帰ってきた偉い人に……「お勤めご苦労様です」って言っちゃったんだよねぇ…………。


 ※通常、『お勤めご苦労様です』はムショから出所して来た人にかける言葉です。作者も昔、某RPGでこの言葉が使われていて、やらかしました。


 それでさあ……ご多分にもれず俺も結構な中二病患者なんだけどさあ……『自分の理想の作品を作って、誰も彼も見返して見せるぜ!』とかイキッてた時期があってさあ……アニメ制作に憧れて、専門学校入ったんだけど。


 みんな絵が超上手くて。授業にも全ッ然ついていけなくてさあ……。


 ある日は講師から「君はアニメーターでなく評論家になれ」ってすっげえ遠回しに『お前はアカン』諭しされてさあ……しかも、当時の自分は本気にして中二なこと言いまくって世の中のメジャー作品批判しまくって…………『アイツと同じクラスなの最悪』ってクラスメイトに言われたのをきっかけに喧嘩してさあ……進級出来なかったんよ…………。


 それでさあ――――まだあんのかって? そういう奴なら、わかんだろ? 馬鹿な自分の過去を思い出して発狂したくなるような想いが…………ふっ、これが俺の奥義よ。まだまだいくぜ。


 ちなみに、一度俺の第一声を聴いたあんたはこの技から逃げられねえから。耳を塞ぐのも、無駄さ……精神に直接侵食してるからな…………防御不可能、回避不可能だぜ。


 そんでさあ。アニメーターは諦めたんだけど、学費がもったいないから、コミュ障を克服する為に声優学科に籍を移してさあ……似たようなマインドの奴は多くて最初は心地よかったんだけど。


 基礎鍛錬もサボって、独りアニメやゲームの画面に向かって中二なこと言ってるばっかだから、授業でもクラスメイトと全然掛け合いになってなくてさあ……住んでた学生寮では中二病演技全開で深夜に騒ぐもんだからお隣さんから(怒りの)壁ドンは喰らうし……アニメーション学科同様「アイツと(中略)」ってなって、大枚叩いたのに自主退学しちまったんよ…………。


 ――――あっ…………とっておきの、思い出しちまったわ。


 中学時代、好きな子がいてさあ。思春期ならあるあるだよな? 


 でもそういう年頃って恋に恋しちゃうような時期やん? こう、性格だけでなくその子の肉感的、性的に、さあ? 


 案の定、その子からキモがられて。しかも、PTA会長さんの娘さんだったらしくてさあ! 先生たちも、自分の立場が危ういせいか、だぁ〜れもその子に強く言い聞かせたり叱る事は無くてさあ…………丸三年間。陰惨な虐めを受け続けて、でもその子のことが好きだから自分の中でドロドログチャグチャの念があってどうしていいかわかんなくてただただ心が死んでいくのを感じた――――歪んでいく俺を、「ええんやで。ええんやで。あんたは頑張ってるよ。母ちゃんが一番知っとる」って必死に声をかけてくれる親の優しさが、痛かったなあ…………親の、優しさが…………。




 痛かった…………ナァ…………。



 ※ここで、わかる人は自分の心の傷が抉られたのがわかるかと思います。



 ……ふっ……逝ったか…………これが俺の奥義だぜ…………やる度に敵だけでなく、俺自身のHPとMPが1になる、ヒッジョーに危険な技だけどな…………ハァ…………。



 ……おっ? 今のバトルで『傾奇ポイント』がかなり溜まったな。予選突破は堅いぜ。


 俺ぐれえの中二病こじらせた傾奇者はゴロゴロこの街には居るぜ。あんた自身も中二心があるなら、これぐらいの精神攻撃に耐え切るメンタルは覚悟しろよな……じゃあな…………ハァ…………。


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 以上、ヒロシのBLACK HISTORYをもってすべらない話≒鬱な話とさせて頂きます。



 ――――実話や体験談かって? 


 創作だよ! ふはははへへへへははは。


 『傾奇者-KABUKIMONO-』本編や ふりーむ!にて公開中のゲーム版もよろしく! 


https://www.freem.ne.jp/win/game/12708

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