第40話

 「じゃあ、今度はシロの方に挨拶しよう。この子達、双子なんだよ。クロは男の子。白は女の子なんだ」

 シロも同様に穏やかな性質で、俺たちはクロと同じようにシロとスキンシップを交わした。

 「ねえ、オトタチ、それにしてもなんでリハ室にこんなでかい狛犬がいるのさ」

 おれはさっきから抱えていた疑問をオトタチにぶつけた。

 「うん、ほら、さっきも言ったでしょ。アンプがいるって。この子たちのことなの」

 「アンプって・・・狛犬が?」

 「そう。まあ、普通意味わかんないよね。タネ明かしの前に、タケオ君と理子ちゃんの楽器渡すね」

 そういうとオトタチはシロの横を通り過ぎて奥の壁へと向かった。彼女は木造の壁をとんと叩いた。するとそのまま壁の一部がぱかんと少しずれた。

 「タケオ君、善太君、ちょっとこれ下に下ろしてくれる」

 オトタチにそう言われておれと善太は外れた一畳ほどある板を2人で抱えて床に下ろした。壁の向こうは外した板そのままの大きさの棚になっており、そこにはギターとベースが一本ずつ木のスタンドに乗せられ置かれていた。

 それぞれのギターは深みがある琥珀色の木で作られていた。ギターはストラトタイプの7弦、ベースは俺の好きなジャズベースタイプの5弦である。

 「うわあ、カッコいい!渋いギター!」

 理子はギターを見るなり歓声を上げた。

 「よかった、気に入った?ささ、2人とも手にとって」

 オトタチに促されるまま俺たち兄妹はそれぞれの楽器を手にした。黒革で作られたストラップが高級感を感じさせた。思いのほか軽い。ネックを握り、軽くベンベン、ンパンパとスラップしてみた。

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