第30話
「いただきます!」
待ちきれずに善太は料理をバクバクと食い始めた。
「ああっ!」
理子は小さな悲鳴を上げた。
「うおー!超うめぇ!」
善太が大声を上げた。おれはそれを聞いて空腹に耐え切れず、何かの和物に手を出した。うまい!今まで食べたことのないような旨みがおれの口の中に広がった。すぐにコメをかき込む。甘い!ふっくらしている!こんなコメ食ったことないぞ!
こうしておれと善太は夢中で食事を続けた。一方理子はおれと善太を交互に気の毒そうに眺め、米を口に運んでいた。
「ごはん、おいしいね・・・でも私、もういいや。ごちそうさま」
「なんだ理子ちゃん、こんなにうまいのに食べないなんてもったいないなあ!じゃあ、俺にこの豆と魚頂戴」
善太はものすごい勢いで自分の分を平らげ、理子の膳にも箸をつけた。
「ぜ、善ちゃん・・・そんなに食べて大丈夫・・?」
「全然オッケーだよ!いくらでも食えるよこれ!理子ちゃんこれ食べないなんてもったいないなあ」
「そうだよ理子、なんで食べないの?」
「そ、それは、その・・・ううん、なんでもない」
理子はおれ達の前にいるタケミカヅチをはばかる様子で黙ってしまった。タケミカヅチは目を細めて善太の食いっぷりを眺めている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます