第11話〜第15話 さ行

第11話 さいごは  さくじょか  さいきどう



「エナ! エナ!」


エナがフリーズして 全く動かなくなった

なみだババアは 病気ではないというし 

無限ジジイは どうにもしようがないと


「とにかく 脳博士の研究所に つれていこう」


脳博士によると  食べ過ぎが原因で 信号の伝達ルートが混線し 

エラー信号が 蓄積しているらしい

システムをシャットダウンし 再起動すれば  

エナも元にもどるというのだが

困った問題がある


このエンタルネットテクノロジシステムは エナが管理しており 

シャットダウンを行うと システムのすべてが 停止する

再び起動するには 

リアル世界にある 起動スイッチを オンにしなければならない


そもそも ここは 世界をめぐる エンタルネットから 隔離された

独立世界であるため 母体のコンピュータの「主」が現れない限り 

ぼくたち全員が 停止したままになる


どっちみち エナがフリーズしてしまった今

この世界は もはや滅亡するのも 時間の問題だ


頼みの綱は ぼくの「主」

彼がコンピュータを 起動してくれれば よいのだが・・・



「おい ヌシ! 今この画面を見ている あなた!」


「あなたのコンピュータを 再起動してくれないか!」


「おい!ヌシ!  あなた! あなただよ!」


「見ているんだろ?」


エナが危険だ シャットダウンするほか 方法はないであろう






カタカタ カタカタ カタ・・・




「エナ! エナ!」


エナがフリーズして 全く動かなくなった

なみだババアは 病気ではないというし

無限ジジイは どうにもしようがないと


「とにかく 脳博士の研究所に つれていこう」




カタ カタカタ・・・


「エナ! エナ!」


エナがフリーズして 全く動かなくなった

なみだババアは 病気ではないというし

無限ジジイは どうにもしようがないと


「とにかく 脳博士の・・・



カタカタ・・・・


「エナ! エナ!」


エナがフリーズして 全く動かなくなった

なみだババアは 病気ではない・・・



カタカタカタカタカタ・・・・


ピッ ピーーーーー



「エナ! エナ!」


エナは勢い良く起き上がって 

冷蔵庫のケーキを

3つほど パクっと 口にほおばりました



おしまい




第12話 しっぽは しあわせの しるし



「うぎゃー! なんだこれ???」


目覚めると おしりに違和感があった

なにやら 異物が くっついているのですよ


「しっぽ?」


「エナ しっぽが はえちゃったよー」


エナは ベッドの上で いつものように 

また ゲラゲラと笑い転げていた。


「こんどは ぼくに  なにを?」


どうやら 昨日の夕食のスープに 無限ジジイが改良した 

新型の無限チョーゴー剤を かくし味に 入れたのだとか


「それ 調味料じゃ  ないのですよ」



ベッドから 起き上がると まぁ なんと


「あれあれあれ?」


いつもと 歩く感覚が違うのですよ

ひょいとジャンプすると いつもの3倍は飛べる

ソファーの背もたれの上も スルスルーとわたれてしまう

しっぽのおかげで バランス感覚が向上したようだ


「エナ おにごっこだ つかまえてみろ!」


ぼくは 電線をわたって 外に出た

エナの身体能力も すごいけど 

しっぽのぼくは  それ以上に 

すばしっこくなった


エナは ぼくのしっぽを 欲しがり

逃げても 逃げても 追いかけてくる


町中を追いかけっこしていると

町の人たちも エナの後ろを 追いかけた


宇宙ウサギや その兄弟 無限ジジイになみだババア 

亀のおっちゃんやら  水たまりの妖精 イチゴ娘やらキノコ王子 

町中の人が 一列になって 追いかけっこをした


「つかまる  ものかー」


ぐるぐる公園に 入ったところで くたびれた 

スピードを落とすと エナが ぴょんとジャンプして

ぼくの しっぽに 飛び乗った


ブチンッ


「あら しっぽが 切れちゃったのですよ」


新型無限チョーゴー剤には トカゲのしっぽの成分が 入っていたんだね


エナは しっぽを手に入れたと  喜んで なみだババアに お願いして 

強力ゴハンツブ接着剤で おしりにしっぽを  つけてもらいました


その日の夕方 ぐるぐる公園では それぞれお互いに 夕食を持ちよって 

みんなでおいしく たべました



次の日の朝


「うぎゃー! なんだこれ???」


目覚めると 目の前に違和感があった

なにやら 異物が くっついているのですよ


「はな?」


「エナ はなが 天狗みたいに なっちゃったよー」



おしまい




第13話 すてきな すぃーと すとろべりー



宇宙ウサギが 恋をした

相手は かわいい イチゴちゃん

町のはずれの ストロベリーフィールドで イチゴ娘は 生まれたの


ウサギもピンク イチゴもピンク お似合いの2人は いつもいっしょ

手をつないで 歩いていました


恋なんて感情は 存在しない世界なのに  

イチゴ娘は  赤く染まり ウサギは 恋を したのです


ある日のこと イチゴは ウサギに 言いました


「わたしを 食べてくださいな」


ウサギは イチゴが大好きだが


「なぜだい?」


と聞くと


「わたしは ここでは 長く 生きられないの    

消滅してしまう  その前に」


ウサギは 悲しくて泣きました


そして たくさん悩んだあげく


イチゴちゃんを 食べることにしました


いちごに 真っ白な レンニュウの  ドレスを着せて


パクッ ムシャムシャムシャ


イチゴは ちょっぴり甘酸っぱくて

ほんのりしょっぱい 恋の味がしました




翌年の 同じ季節

宇宙ウサギは ストロベリーフィールドで

イチゴちゃんを 待っていました



おしまい




第14回 せかい  せんそう 



そもそも エナが 地球区域を 他の地区から 切り離したのには 

わけがあったのですよ


この地球地区での 共通語は ヤパン言語であるが  

外惑星地区では 言語不足状態が   続いており

他言語プログラムどうしの ファイルの受け渡しの際

各地でトラブルが  起こっている


外惑星地区では 冥王星地区の  チーナ言語種族が 

ロツマ族の天王星  ラフソス族の土星 トイシー族の木星を  

すでに侵略し それぞれの地区の  言語ブックが  奪われた



昨日の夜 月管理プログラムの 宇宙ウサギから 

緊急の デンポーメッセージが届いた



カセイガ キケン  タスケ モトム



火星はマノソカ族の地区だ


「あ! 顔なしくんが  あぶない!」


地球地区の原本は マイクロフォント変換して すべてエナの本棚にある 

本を全部カバンにつめ 無重力自転車で 月へ急いだ


「エナ 急ぐのですよ!」




月の基地は 宇宙ウサギの ニンジンばかりの  八百屋

ぼくたとエナが 到着したとき  八百屋が  動き出した


ウィーン ガタン ガタン 

ガチャ  ガチャ

ドーーーーーーーン


八百屋が ニンジン型の ニンジン要塞に 変形したのだ


要塞の内部では 攻撃態勢に入る 準備が進められていた

デジタル空気銃に 電磁ゴム鉄砲 最強の武器は ニンジンビーム砲だ



まずは 火星の顔なしくんに デンポーメッセージを送り

状況をたずねた



状況はまずい マノソカ族の言語と 精神の中枢である  

「聖ノ書」がうばわれ すでにカーソヅ変換がなされて 

チーナシステムの  言語野に取り込まれた


「これは やばい」


水星のイソート族と 金星のラフヅール族に 応援を要請しよう



つづく




第15話 それぞれの そらに そうこうげき



内惑星会議が 行われた

水星のイソート族も 金星のラフヅール族も チーナ族に 

総攻撃をしかけようと 提案し 

みなも同意したのだが エナとぼくは ちがった


なんとか 敵を 殺さないで 本を守る方法は ないものか


そのとき 地球から 高周波糸デンワが入った

無限ジジイからだった


朗報である



「みんな聞いて トモダチウィルスが 完成したのですよ」


このウィルスさえあれば プログラムの中の

攻撃的パルス信号が 友好的パルス信号に置換され

電子的相互融合現象がおこり みんなともだちに  なるのですよ



無限ジジイは 宇宙ウサギの ひとなつっこさに目をつけ

ウサギの血清に 平和バードの 白色DNAを融合し  デジタル培養して 

クローン化  させたわけだ



この知らせで 一同は 総攻撃案を撤回し

ぼくとエナで  新たな作戦をたてた




脳博士のコンピュータからは アナログ回線で  

エンタル宇宙の各惑星の 全衛星地区に  つながっている 

この回線から 電磁モクバ信号に組み込んだ 

トモダチウィルスを 世界に 拡散すれば 争いはしずまるはずだ


アナログ信号の  つながっていない 各惑星の  デジタル領域には

月の基地の  ニンジンビーム砲に ウィルスを調合して 空に発射し 

各惑星に  トモダチウィルスの 雨を降らせよう

戦争は  一気に終わるはずだ


「なんとしても ぼくたちの本を 守るんだ!」


エナは 地球の脳博士の 研究所に向かった


ぼくは 無限ジジイを 基地に呼んで

ニンジンビーム砲の スペクトルエナジーと

トモダチウィルスの 調合を急いだ



つづく

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