02-5.ガラス越しに困っている事:予定を崩されると大パニック

これはどちらかというと自閉スペクトラム障害特有の「困り事」とも言えるだろう。

前回、「自分がある程度コントロールできる環境じゃないと落ち着かない」と書いたが、これが最も典型例だと言えるだろう。


私のようなタイプは「急激な予定変更(キャンセル・導入両方)」に対応できない。

最近になって、学生時代からの20年付き合いがある気の置けない友人達や夫、夫の両親(義両親)だったら何とか「前日」の対応ができるようになった。

それでも前日である。「当日」に予定の変更があると、一気に頭の中が真っ白になってしまうのだ。


もちろん、これにも理由がある。ちょっと極論になってしまうがわかりやすく文章に表現すると「日常」と「予定のある日」の区別が基本的につかない、というのが一番大きな理由だ。

前回と同じく、一例を出してみよう。

今日(2017年6月16日)は金曜日だ。明日は土曜日。

明日の予定も、明後日の予定も、明明後日の予定も、月曜日も火曜日も、全部予定がある。自分の脳内では大まかな「流れ」が出来上がっている。


今日からの脳内予定を書き出してみよう。


明日は夫が休み。だから、基本的に掃除はしない。今日は夜更かしするだろうから、明日の朝、起きるのはきっと10時とか11時ぐらいかな?

そうしたら朝昼兼用のご飯を作って一緒に食べて、仕事を2件ほどこなせば大体17時ぐらいだろう。そこから犬の散歩に行って1時間、夕飯は夫が作ってくれるだろうからそれを食べて、食後2時間はお風呂に入っちゃいけないからそれまでゲームかテレビ見て寝る。日曜日も似たような感じかな。

月曜日は夫が仕事に行ったら洗濯して床掃除、お風呂掃除と洗面台の掃除はして、その後仕事1件、犬の散歩に行って、次の日の朝のご飯セットして・・・あ、水曜日お茶しようって友達から連絡来た。じゃあ水曜日は予定入れられないから、その分を火曜日か木曜日に振り分けて・・・


はい、引かないで下さい。これをずっと繰り返しています。365日。


割とこの時点で気づいた方もいるかもしれない。明らかに私にとってはキャパオーバーな「to doリスト」を脳内で組み上げ、それを全て予定通りにこなす事をある意味「神経症」とも言えるほど律儀にこなさないと納得できないのだ。

だが、一般的には(これが一般的なのは主治医から聞いた)気が向いた時に「今日は天気がいいから○○に行ってみようか」となるものらしい。

夫も実際そんな感じで休日、時間が空くと私と一緒にドライブに行ったり、外食したりをしたかったようだ。

だが、当の本人はそれを当日言われただけで「その日の予定が全部潰れる」事になる。全部潰れる、という事はその分を別の曜日に回し、最低でも一週間分の予定を全部組み替えなければならなくなってしまう。

当然、あの動作IQの低さのため脳=CPUの処理速度はそんなに速いはずもなく、あっという間にオーバーヒート。パニックを鎮めるためにそのまま安定剤を飲み、ベッドの中で1日丸くなって過ごす、という状態だ。

そして、翌日からまたキャパオーバーの「to doリスト」を組み上げ、終わる頃には夜。風呂も入らず、肌の手入れもせず、歯磨きもしないでただパジャマに着替えて寝る。そんな事を延々と繰り返していた。

風呂に入らないのは本当に(色んな意味で)致命的だったが、これも「風呂に入らなくても死なない」という主治医の言葉を深読み&丸呑みしていた。つまり「風呂に入らなくても死なないし、他にやるべき事は山ほどある。主婦としての家事をこなし、明日の準備をし、家計簿をしっかり記録し、夫の負担を全力で減らすのが【義務】なのだ」という強迫観念に似たものだ。


私にとって「日常」には全て「予定」が入っていて、「予定の無い日」というのは存在しない。

では、休日はどうか?というと、休日は休日で「朝ご飯を食べたらアロマを焚いて編み物をしながらDVDを観て、15時ぐらいには昼寝して、17時過ぎには犬の散歩に行かないと」なんて順序が立っているのでやっぱり「予定の無い日」というのは私の中で存在しないのであった。


だが、この辺りも、夫との試行錯誤や考え方の擦り合わせ、「夫婦改革」とでも言うべき動きや投薬によって随分変わってきている。

また、ここ数年の発達障害の劇的な研究の進み具合も関係しているのか、ネットや文献から得られる情報も多く、私達夫婦としては、うんうんと頷きながら徐々に実践している状態だ。


次回からは「困り事」と平行して、私達が何となく編み出し始めている「改革案」も別項目で記録していこうと思う。

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