02-4.ガラス越しに困っている事:五感過敏がある

もう一つ、番組で取り上げられた障害トラブルがある。

ADHD・自閉スペクトラム障害を持っている方は、何かしらの「過敏」症状を持っているという事だ。

人によっては聴覚だったり、視覚だったり、味覚だったりする。もちろん触覚もあるし、嗅覚もあるだろう。これらの感覚に、何かしらの過敏反応があるという事だ。

こちらも、私自身を一例として出してみよう。


よく打ち合わせや雑談に使われる喫茶店。現在は投薬によって随分緩和されたが、投薬前は本当に「音の洪水」以外の何者でもなかった。


1.BGM。

クラシックだったり、JPOPをアレンジして穏やかに流れている曲。

2.人の話し声。

特に、元々声の高い人、声の大きい人の会話内容。

くしゃみや咳込み、男女問わず聞こえてくる話し声。

これを書いているのは(自分の障害をそのまま記すためにあえて)喫茶店で書いているが、後ろに座っている男性2人の声が耳にうるさく感じる。

話の内容から、仕事上でトラブルがあり、それについての解決策を延々と討論しているようだ。ちょっと小声になるときはあっても、私には丸聞こえである。

3.店員のサーブ音。

テーブルに料理を置く音、歩く音、片付ける音、オーダー中の声。椅子を引いたり、テーブルを片付けている音。

4.空調の音。

時々気温に合わせて風が止まるようだが、サーっという音が頭に響く。

5.調理場からの音。

コーヒーのドリップ音や食器を片付けている音、店員の話し声、レンジで温めている電子音も聞こえてくる。

6.外の生活音。

救急車等は言わずもがな。信号が変わって車が走り出す音、ゴーッというエンジン音。特にトラックは大きく聞こえる。


さて、ここまでで6つ。さらに私には(おそらく)視覚過敏も若干入っているため、

窓から入ってくる太陽の当たり具合や人が歩く度にテーブルにチラチラと写る影、暖色で統一された照明の色味、この辺りまで情報として入ってきてしまう。


さて、こんな「音と光の洪水」の中で楽しく相手とおしゃべりしたり、会話できるだろうか?


繰り返すが、ADHD・自閉スペクトラム障害は、基本的に「情報の取捨選択」ができない。

会話をしながら、店内のBGMが気になり、人の話し声が気になり、調理場の音が入ってくれば気もそぞろ。目の焦点はあっちこっちに飛び、その情報が「必要かどうか」をいちいち精査する。

こいつは、話を聞いているのか聞いていないのか?話している人からすれば「適当に聞かれている」とイライラするかもしれない。

「ちゃんと聞いているのか?!」という注意と叱責は、私達には耳にタコができる程聞かされている小言だ。

無論、聞いているつもりだが、「気になる事がありすぎる」のだ。特に脳の成長途中であり、精神的にも未発達、社会経験が少ない子供なら尚更だろう。


ちなみに私の理想的部屋は、夫曰く「サーバールーム」だ。

窓が一切無く、空調と空気清浄機で完全に温度と湿度が調整されている。今仕事をしている部屋は、基本的に窓どころかカーテンも開けないし、ドアは閉めっぱなし、湿度は50%前後を絶対維持。

ある意味密封された部屋だと、安心して仕事ができる。

窓が開いていたりするとそれだけで音がノイズのように入り、ドアを開けっぱなしにすると風の感触や夫の歩く足音、台所の物音まで聞こえてきてしまい、集中しづらい。

ヘッドフォンは以前使っていたが、今はほとんど使っていない。周囲の情報を遮断してしまうと、今度は洗濯等の家事や水分補給等の健康管理が抜け落ちてしまう。家事を忘れてしまったり、体調を崩してしまう事も多かったため、今は本当に集中したい時にしか使っていない。


・・・と、ここまで書いていて気づいた。

多分、私は一事が万事「自分がある程度コントロールできる環境」じゃないと落ち着かないんだ。


この辺りは、次の項目にシフトしながら分析していこうと思う。

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