読み終わった今でも締めつけられた胸が苦しいままです。
主人公の想い人は、踏み込んではいけない人。
すぐ傍に自分を思ってくれる人がいるのに、そして自分が踏み越えられない一線を軽々と越えていく友人がいるのに。
それでも彼女への想いは断ち切ることができないどころか、ますます強く深くなり──
ストーリーは王道です。直球勝負で球筋が見えます。
けれども、豊かな感性とそれを余すところなく読み手に伝えるための研ぎ澄まされた表現力で、物語の魅力に見事に引きずり込まれます。
気づいた時にはその投球に見蕩れるあまりに見逃しの三振。
バッターボックスを去る時にも賞賛の拍手を送らずにはいられない、そんな清々しい読後感でした。
(意味もなく野球に喩えてしまいすみません……)
主人公、高梨由哉くんが恋をしたのは、当たり前のようにいつも近くにいる姉の瑞季さん。
超えてはならい15センチを保ちつつやきもきする日が続く。
そんな中、新たな登場人物が加わり、恋の四角関係へと発展して……。
連載中からずっと追いながら読んでいたのですが、続きが気になる仕掛けがたくさんっ!
「え! この展開、どうなっちゃうの? 早く最新話が読みたい」状態がずっと続いていました。
そのぐらいこの作品には、物語の中に引き込む魅力があります。
これから読まれる方は、きっと一気読みしたくなるほどのドキドキと面白さがあります。
触れたくても触れられない気持ちにドキドキしたい方、青春胸キュンが好きな方、おすすめです♪
姉や妹にもしも恋心を抱いてしまったら、どのような苦悩が待っているのか。
このお話は、そこがとても丁寧に表現されていました。
禁断の恋は決して、ただドキドキするだけの軽いものじゃない。近づきたいのに近づいてはいけないと、そう思って自ら距離を取ったのに、そうすればするほど近づきたくて仕方がない。
障害があればあるほど、恋愛というのは燃え上がると言われてますけど、このお話の場合は、だからこそ大きくなる気持ちを無理やりにでも抑え込まなくてはいけない。それがとても辛くて切ない。
そういったリアルな苦しみが描かれていて、単純に「素敵でした」では終われない作品でした。
だからこそ、物語に深みが生まれているのだと思います。