セヤナ-研究員の研究報告書

綴織(Tapestly)

足りない調査があれば教えて下さい。すぐに調査を始めます。因みに研究員は私1人です。同士の方々は少なからず研究報告(動画)が上がっているみたいなので、その設定も一部組み込ませていただいてます。……誰かセ

研究報告書.1

セヤナ-の研究報告書【セヤナ-】研究員


まず初めに。

全国の有志、同胞の研究員諸君よ。

共に謎の生物の神秘を暴き、この生態の全貌を明らかにしようではないか。

私は今宵、この新種の生物についての報告を行う。



・特徴

セヤナ-とは半固形状の姿にナメクジやカタツムリのように移動する陸上型の軟体生物である。

幼体時は約3~15cm、成体時は大きいと40cm程の大きさ。重さは成体時で約4kg程度。家セヤナ-の平均寿命は約4年で長寿だと5年ほど。野良セヤナ-は、長生きだと10年近く生きることも。

ピンクとベージュを中心とした色をしており、「セヤナ-」などの鳴き声を発する。


・食事

好物は天然のエビフライとチョコ。

エビフライには、セヤナ-の身体の多くを構成する脂質とたんぱく質が豊富に含まれている為、これを進んで食べていることが確認されている。野良セヤナ-は海老も食べるが、水辺にあまり住処を作らないのと海老の素早い動きに対してセヤナ-が反応できないため、食べている場面を見るのは稀である。

またセヤナ-の起源である南米のセヤナ-はカカオを食べていることから、カカオに含まれる脂を好んで食べているいることが分かる。普段はほとんど手に入らない肉などの脂の代わりに、カカオを食べていたという観察結果が調査により判明している。

ちなみに、チョコ-と発音するのは家セヤナ-のみである。一般的な市場で販売されているセヤナ-フ-ドには、セヤナ-が生きるために必要な成分しか入っておらず、脂質もほぼ含まれていない。かと言ってエビフライを与えればセヤナ-の舌が肥えてセヤナ-フ-ドを食べなくなる可能性が高い。そこでセヤナ-をより飼い主に懐かせるための嗜好品としてセヤナ-にチョコを与え、飼い主への依存性を高めて逃げにくくする、エビフライに多く含まれる脂質とたんぱく質を補完する等の目的の元、十何世代と施行を繰り返して覚えさせたのである。

ちなみに、市販の板チョコの一欠片を与えれば、それだけでセヤナ-に必要な一日分の脂質になるので家セヤナ-を買う場合は準備をしておくといい。最近では家セヤナ-用の低コストな専用チョコも存在する。

家セヤナ-の食事は一日一食で、一欠片のチョコと幼体ならお茶碗一杯分、成体なら二杯分のセヤナ-フ-ドと少しの水を与えておけば最悪死ぬことはない。

※研究用に捕まえられた野良セヤナ-のものなので、普通の家セヤナ-には上記の餌を一日に二回与えることをお勧めする。


基本は雑食だが、植物からはほとんど栄養を摂取できていない。それでも食べる理由は、植物の中でもたんぽぽや油菜に含まれる植物油を体内に取り込んで体表の脂に変えているためとされており、また昆虫や小動物が手に入らず飢餓を紛らわす為の行動だとも推測されている。


・分類、身体構造

セヤナ-は軟体生物の新種の一種である。

内骨格も外骨格も持たないセヤナ-は、多くの軟体生物が持つ炭酸カルシウムでできた殻を持たず、無板類のような細長い円柱状の姿でも、目や口などの感覚器官を所持しているため、ナメクジやウミウシと同じ殻を持たない腹足綱の一種と断定された。

セヤナ-の表面は膜がうっすらと出来ており、体表から主に脂を成分としたものが体内で生産されているものである。

人間でいう腎臓と汗腺の二つの働きを持っているこれは足以外の全体に付いており、エピフラムのような役割を持ち、強烈な日光により身体の水分が失われるのを防いでいる。また湖や水辺では、狩猟の際に水を弾いて身体の形が変わるのを防ぐ役割を果たしており細菌からも身を守っている。

セヤナ-には心臓部分に表面の脂を出すための働きをしている中核が存在しており、これのお陰でセヤナ-は日光や水、細菌から脅威を受けないでいる。この中核は人間でいう腎臓と汗腺を合わせたようなものであり、体内で吸収した炭水化物やタンパク質の燃えカスを対外に排出する役割と、その際に得た脂質を体内で体表を覆う脂に変換する役割を持っている。

ちなみに、この中核は一度に多くの塩分を取ると中核に多大な負担がかかり機能が停止する。日光が出ていたり乾燥していたり風が吹いていたりすればあっという間に体表中の水分は蒸発して死に至るため、都会の野良セヤナ-を駆除するために、エビフライに大量の食塩と醤油を大量に刷り込んだものが使われることがある。これは動物駆除のコーナーにあるセヤナ-用猛毒エビフライとして売られている。


また、セヤナ-は排泄器官を持たない。食物から栄養を摂取したセヤナ-は、その残りカスを塊にして口から排泄することで体内を清潔に保つ。幼体のセヤナ-はこの残りカスを塊にする行為が上手くできず、液状に吐いてしまうことがある。幼体の家セヤナ-を飼い始めたばかりの飼い主は病気と間違えるようだが、その心配はないので安心していただきたい。


・生命力

セヤナ-は、非常に弱い生物である。移動には必ず足を使い、この足が傷ついてしまうと行動ができなくなる。小さい傷が治るまでに二日ほどかかるが、筋細胞が大きく損傷することがあれば治ることは無い。表面の皮膚は足より柔らかいため、多少の傷には強いがそれでも元々の運動能力が低いために外敵と遭えばまず勝てない。

植物から摂取できる栄養はほぼ0に等しい為、捕食に恵まれないセヤナ-は栄養が足りず死ぬことも少なくない。

また、基本的にセヤナ-は乾燥には強いが寒さに耐性がない。その為、冬になるとセヤナ-は冬眠を始める。暖かくなると活動を再開するが、それまでの間に食べられてしまうこともある。ちなみに、この冬眠の修正を使い、野良セヤナ-を捕まえて冷凍保存すれば餌を与えずに長い期間保存できる。長すぎると生き返らなくなるらしいが、九割以上のセヤナ-は約三ヶ月以上の冬眠を乗り越える。

体表の脂により乾燥には強いのだが暑さに強いという訳では無い。この表面の油がなくなったら、半透膜の性質を持つセヤナ-の皮膚は日光により水分を奪われてカラカラに干からびる。

市販の野良セヤナ-駆除剤であるセヤコロリは、乾物によく含まれている乾燥剤を粉状にすり潰し、食塩水の中に混ぜたものである。これを使えば野良セヤナ-を確実に駆除できる。


・運動

セヤナ-の身体能力は、野生動物の中では高くないと言えるだろう。

成体で一般的な成体の野良セヤナ-(0.31m)を例に見てみると以下の通りになる。

陸上での速度は時速600mほどであり、100mをおよそ10分で歩く速度だ。天敵の多いセヤナ-が他の生物に狙われたら最後、身を隠して外敵が運良く見失う事を祈るしか方法はない。

セヤナ-は木に登ることが出来る。速度は落ちるが、足となる面が傷つかない限り、落ちることはない。しかし、もし仮にこの面が傷ついてしまえば、十分な力が伝わらず登ることが出来なくなる。

また、セヤナ-は側面を登ることは出来るが降りることは出来ない。なので、地面が近い時は柔らかい表面から落ちて中核や足を守るが、高い場合は降りることが出来ず落下や降りれずに餓死に至ることも。

セヤナ-は跳躍することができる。とは言え跳ぶという表現が正しいか疑問なほどその力は弱い。セヤナ-は後方左右に飛ぶことはなく、軟体を利用し体を沈めてから真上、または前方に跳ぶ。高さは約2cm、飛距離は約3cmほどで少しの段差を飛び越える時や近くの虫を捕まえる為に跳ぶ。

セヤナ-は水中でも少しの間なら息ができる。体表から出る薄い脂の膜で、流れが緩やかな川だと身体が流されずに行動できるのだ。だが、急な流れになると足が離れてしまい、そのまま流されてしまう。そうなってしまうと自分で泳ぐことは出来ないため流されたままになる。

もし湿原や森林の水溜まりに枯葉や小枝が不自然に集まっていたら、セヤナ-が中にいるかもしれないので探してみるといいだろう。

他の生物との戦いになると体当たりや噛みつき、踏みつけや鳴くなどして敵を威嚇するが、他の生物と比べて身体能力が低く争いが苦手なセヤナ-は、自分よりも小さな生物で尚且つ力の弱ったネズミやリスなどでないと勝つことはない。鳥類の爪に掴まれたり、身体の一部を噛まれて捕獲されれば、まず抵抗することは不可能だろう。

これは成体の野良セヤナ-が基準になっているため、幼体や家セヤナ-はこれよりも身体能力が劣る。


・生息地、住処

野良セヤナ-の多くは草原、森林、湿地、砂漠など虫や小動物、植物などの食物が多く存在する場所に住処を作るため、他より食物の捕獲が難しい水辺にセヤナ-が住処を作ることは少ない。

住処は主に大木や大きな石に出来た隙間や穴を利用する。また、一部の森林では木の上で生活するものもいる。

セヤナ-は温帯・亜熱帯・熱帯で確認されており、亜寒帯以上の地域や雪山などには生息していない。


・群れ、交流、鳴き声

野良セヤナ-は基本温厚で、群れでも喧嘩を起こすことは少ない。しかし食物が少ない地域や縄張り争いで喧嘩が起こるとも少なくない。

この場合、基本的には身体の大きなセヤナ-が勝つので、立場の弱い小さなセヤナ-は住処を追われることが多い。また、飼い主から捨てられた家セヤナ-は身体能力が低く、自然の中で一週間生き残れる可能性が一割を切っていることが、セヤナ-保護団体のデータで確認されている。

セヤナ-は基本的に群れを作らず家族単位での行動を中心とする。これは多く集まることで見つかるリスクが上がる為だと言われている。

野良セヤナ-が扱う言葉は少なく、基本は

「セヤナ-」挨拶や仲間といる時に発する

「ヤデ-」肯定や縄張り主張時に発する

「ヤ-!」 否定、恐怖の際に多く発する

「ウチナ-」威嚇や攻撃的な際に発する

「セ-ヤ-」 主に睡眠の際に発している

「エビフライ-」主に空腹時に多く発する

というふうに考えられている。完全な意思疎通は不可能なため、他の意味があったり上記の反応と違う行動をする可能性があるのでご了承頂きたい。

他にも、片言ではあるがオウムのように人間に近いような言葉を発することが多々目撃されている。またセヤナ-が鳴き声を出す時の声が高いと喜びが、低いと悲しみや怒りが強いという研究成果がある。


・生殖

カタツムリのように両方の生殖器官が発達しており、セヤナ-同士で産卵する。

また、雌雄同体のため自家受精することもあるが、それよりセヤナ-によく似た生物であるダヨネ-と接触し強制的に生殖行為を行わされるケースが多い。産まれるまでは約五日ほどで、幼体の大きさは約8mm程度の大きさ。一度に平均3体ほど産まれる。

ダヨネ-はセヤナ-に対して友好的だが、子供が生まれた後は自分と同じ種の子供を育てるため、仮にダヨネ-がセヤナ-を産んだ時に、親のセヤナ-がいなければ幼体セヤナ-は捨てられてしまう。どうやら、生殖行為は行うが自分の種を優先的に残そうとする傾向があるらしい。産まれたばかりの幼体は無力のため、捨てられたら最後死を待つのみである。

反対にセヤナ-は、ダヨネ-が生まれたとしても育てる傾向にある。


・家セヤナ-の飼い方

1.ペットショップにあるセヤナ-は基本的に食事や寿命の観点から冷凍状態にある個体がほとんどである。

-10~-18℃の冷凍状態にあるため、40℃~50℃程の熱湯で5分ほど解凍し、その後熱湯から出して乾かす。

ドライヤーを使う際は中核が動いていないので、温風は使用しないこと。解答から睡眠状態に移行すると声を発し始めるので、目覚める前に水槽の中へ移動させること。

2.水槽は基本的に幅60cm奥行30cm

高さ26cmのものを用意する。買った当初は3cm程のセヤナ-でも、半年もすれば15cm前後になり、一年後には20cm

ほどの成体になる。

3.セヤナ-は寝る際に寝床である住処が必要なので、セヤナ-を買うと付いてくる付属品の草むらキットとプラスチックの木のセットを使い、住処を準備する。住処がないとセヤナ-のストレスが溜まり、早死や鳴き声など騒音の原因になる。

4.食べ物は基本的に一日二食を目安に与える。セヤナ-フ-ドを幼体ならお茶碗一杯、成体なら二杯分と一欠片の板チョコを与えれば生きる。水は三日に一度程度でも死なない。エビフライは月に一度程度で与えるように注意する。多い頻度で食べさせると栄養過多で肥満の原因になったり、舌が肥えてエビフライ以外の餌を食べなくなったりする。

5.セヤナ-は複数でいると基本は大人しく一緒に暮らすが、一部のセヤナ-は攻撃的で喧嘩に発展する場合がある。その場合は仕切りを作る、片方を別の水槽に移す、攻撃したセヤナ-に餌を与えないなどの躾や対策を行い、喧嘩を止めさせる。喧嘩が悪化した場合、最悪セヤナ-が死亡する危険性がある。

6.同じくらいの大きさのセヤナ-を複数同じ水槽に入れておくと、交尾を行うことがある。もしセヤナ-が子供を授かった時は、妊娠専用のセヤナ-フ-ドを与えておくか市販のセヤナ-フ-ドを多く与えておくこと。分量が通常と同じままだと母体や胎児の栄養が足りず死ぬことがあるので注意。

7.セヤナ-に話しかければ、短い言葉であればオウムのように言葉を反復することもある。積極的にセヤナ-と会話をして言葉を覚えさせてみると、後で会話行為をしてくれることがある。

8.もし万が一、諸事情によりセヤナ-が飼えない状態になった際は、専門の業者をお呼ぶか周辺のペットショップまで相談をすること。

セヤナ-の破棄は近隣の迷惑になる可能性があるので行わないこと。

9.その他、分からないことがあればお近くのペットショップやセヤナ-研究所などにご相談を。

セヤナ-研究所TEL ✕✕✕-787-7878



・種類

【野良セヤナ-】

自然に生息する、品種改良を行われていない野生のセヤナ-。人間の生活に影響を及ぼさないものを総じて呼ぶ。運動能力が家セヤナ-より高い。

【家セヤナ-】

ペット用に品種改良されたセヤナ-。狩猟や運動が不得意で、野良セヤナ-より多くの言葉を発する。野良セヤナ-より体は全体的に小さい。

【都会セヤナ-】

野良セヤナ-が自然から人間の住宅街などに住み始めたもの、飼い主によって捨てられた家セヤナ-などを総じて呼ぶ。家庭から出るゴミを漁ったりする為害獣扱いされている。



終わりに

現在入手している情報以外にも、まだセヤナ-について分からないことは沢山ある。

セヤナ-について知らないこと、知りたいこと、興味のあること、その他何でも相談してほしい。

同士諸君の日常的に気づく本の些細な疑問が、研究されることにより素晴らしい秘密を見つける足がかりになるかもしれない。

また、我々研究員と同じくセヤナ-について調べたものがあるなら、何でもいいから知らせてほしい。そしたら私は、その情報を元に新たな研究報告書を作り出し、また同士諸君に報告することになるだろう。


諸君とまた会えることを、心から楽しみにするとして今回を締めくくらせて頂く。

それでは、進捗が上がれば研究報告書2で会おう。






・追記1

海外のとある山奥で、亜寒帯に位置する地域にセヤナ-が生息しているという情報が入った。新種のセヤナ-である可能性があるため、至急調査が必要である。


・追記2

家セヤナ-の中には、飼い始めてから日を置かず亡くなってしまうケースがあったり逃亡するケースもある。また家庭が無断でセヤナ-を処分したり虐待してから捨てたり、一部の業者が経営資格を持たずに躾のされてない野良セヤナ-を捕獲して子供に販売するなどの違法経営を行う悪徳商法などが相次いでいる。

これらの家セヤナ-問題と、違法商売を防ぐ為の解決策が早急に必要だろう。


・追記3

また、南米の一部ではセヤナ-を食べるという地域がある。皮を剥いでモツを抜き肉を焼いて食べるようだ。味はカエルの肉に似ているとのこと。ダヨネ-や他の近しい生物は食べられなかったらしいので、これも後で調査が必要だろう。もし仮にセヤナ-が家畜として品種改良がなされれば、食糧問題に新たな解決策が見つかるかもしれない。


・追記4

セヤナ-の体表の膜は主成分が脂のため分離させると微量だが固形燃料ができることが判明した。より多くのセヤナ-を生産出来れば、実用性のある燃料として使われる日も遠くないだろう。より効率的にセヤナ-の膜を摂取する方法と生産の安定化を図る必要がある。


・追記5

セヤナ-とダヨネ-以外にも、新種の生物がいないか現在調査中である。噂では山岳地帯や地中、雪原で稀に発見されているそうだが……。

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