このすば世界の考察編12: 呪術関係

・呪術師&呪いの数々

 このすば世界で出てきた呪術師は、私が把握している範囲内では今の所2名です。

 1人は食欲減衰の呪いを掛ける健康管理士。もう1人はこのすば世界の病院を経営するゴッドハンドです。それぞれコミック(以下”コミすば”)2巻と、この素晴らしい世界の日常(以下”にちすば”)1巻に収録されてる書き下ろし短編に登場しています。

 ウィズも対悪魔用の呪いを習得していることから、呪術はウィザード系統の位階クラスも獲得できるスキル扱いになるのでしょうか?


 呪い自体は呪術師の他に悪魔も使っておりますね。マクスウェルは7巻で、バニルは外伝で行使してます。後にも触れる予定ですけれど、アーネスみたいに上級魔法を操ることのできる個体もおりますし、悪魔族は紅魔族のようにウィザードや呪術師の系統のスキルと相性が良いのかもしれません。占いなんかと同じように、呪術も悪魔の力を借りて行使しているのかもしれませんね。


 コミすば!での書き下ろしの内容ではアクセルの街において人に呪いを掛けるのは処罰対象になるようです。街中で攻撃魔法を使うとペナルティを課せられるのと同等の扱いと見て良いでしょう。

 あれ?バニルさんは外伝で、ペナルティを課せられた冒険者に対して堂々と呪いを、それもギルドの中で掛けちゃいましたけど…どうやらアクセル市民を自称していても、悪魔族に対しては人類を対象とした人が作りしルールは適用されないようですね。そりゃそうか。後日にルナさんに懸賞金をかけられて追っかけ回されたこともありました。


 このすば世界では他にも呪いがたくさんあります。例えば神々も天罰の一環として呪う時もあるようです。以下にはこれまで出てきた呪いを幾つか紹介いたします。


a. 食欲を無くす呪い

 コミすば2巻に収録された短編に出てきます。アクセルの人々はダイエットとして利用してました。

 食欲は三大欲求の一つです。同じ三大欲求である性欲なんかはサキュバスが好む悪感情とされているっぽいですね。これと同様に、食欲も悪感情として扱われているのでしょうか?通常の欲求はどこから悪感情扱いになるのか…その線引きは難しそうです。

 もしこの呪いに悪魔が関わっているとするならば、どの程度の位級の悪魔が関わっているのでしょうか?バニルによれば、サキュバスも昔はかなり高位であったことが窺われています。もしかしたら、この健康管理師の呪術師は凄い高位の悪魔を使役して呪いをかけているのかもしれませんね。


b. 肝心な時にカズマカリバーが役に立たなくなる呪い

 webすば!最終章で出てきました。

 正確には、「下半身に施す、人の力では永久に解けない封印」ですか。こちらは性欲を抑えてしまうのでしょうか? 本来ならサキュバスが吸い取ってしまう類のものですが…生命力も司っていそうな水の女神なら封印するのも容易そうです。

 そういえば。冬の間にカズマは一皮むけた筈ですね。しかし春のリザードランナーの後は接着剤のイタズラを受けてましたね。もしかしたらリザレクションで蘇生を受けた際に切除した皮も再生してしまったのでしょうか?


c. トイレの水が流れなかったり、シャワーのお湯が急に冷める呪い

 神が呪いなんて使うのか?という疑問にお答えするための一例です。紙すば5巻でババァだ年増だと呼ばれたアクアが怒ってカズマに掛けたようです。紙すば8巻で実際にトイレが詰まった様子が描かれているので、きちんと効果はあるようです。天罰覿面。…自分の身にも跳ね返ってきた様ですが。人を呪わば穴二つ。なんて恐ろしい…トイレの呪いに関しては、天罰として行使することも出来る事がウォルバク女神との初対面時に明かされました。


 液体の温度が冷める呪いは、逆も出来る様です。冷えたシュワシュワがぬるくなるんだとか。流石は左官殿。素晴らしい技術をお持ちです。


 呪いも天罰も紙一重、というか同じ分類の様ですね。神様の力を借りて呪うことも出来るようです。そういやレイシーズゴーストも呪いを使おうとしていたな…悪魔が出来ることに関しては、神様も似たようなことができるみたいです。

 思い返せば、くもりなきまなこは、見通す力も似たような力ですし…神様は年を取らないとの主張をしたかと思えば、その前の巻ではリッチーも似た様な主張をしてました。神様の特徴やスキルは、他の種族にも良く見られますね。何ででしょう?


 d. 微生物を殺す呪い

 このすば世界では、今の所2種類あるようです。

 一つはwebすば!の魔道具です。ウィズが仕入れてバニルがセレナに押し売りしてました。

 人間には全く危害を加えずに、ネズミ以下の大きさの生物を無差別に殺すんだとか。カズマやバニルはガラクタ扱いしておりましたが…

 しかしこれ、本当に看板どおりの効能ならば、大衆向けの食品加工過程とか農作物の保管庫とかに置いたり、畑や田んぼの案山子に括り付けておくだけで、かなりの役に立つんじゃないのかな。

 ミトコンドリアや葉緑体は細胞内小器官なので、生命と言えるほどのものではないですし。抗体は只のタンパク質だ。遺伝子すらありません。

 …白血球などの免疫系には細胞が関わってますが。しかし、そもそも生命の最小単位である細胞を全て無差別に呪い殺すとあれば、看板どおりの売り文句ではなく、ネズミどころか人間も死に絶えます。バニルさんは魔道具の説明に関しては嘘は言わない…と思う。

 個体だけを呪殺するのに、人間に悪影響が出てしまうのは、表皮常在菌とか腸内フローラとかの共生微生物が死んでしまうからでしょう。しかし腸内細菌に関して言えば、彼奴ら勝手に外に出て行くし。ヨーグルトや納豆を食べ続ければ良いんじゃないのかなぁ。表皮常在菌だってお風呂とかを介して健康な人から移して貰えば済む話です。その辺の解決策まで思い浮かばないのはバニルさんは非生物だからでしょう。うまく使えば人間だけでなく家畜の健康管理にも使えそう。


 それでも万が一にと不安があれば、状態異常や呪いを無効化する神器などの装備品やパッシブスキルを持つ人物や、召喚した非生物である悪魔にこの魔道具を使わせれば良いのです。食品加工の他にも生卵や牛乳などの生鮮食品の滅菌処理や、農作業の害虫駆除や雑草管理、安い宿屋の簡易ベッドの敷き藁管理など、色んな業種から感謝されることは間違いない。スイカの種も殺せます。


 だからこれは凄い魔道具なんですよバニルさん!


 もう一つはにちすば1巻の特典小説のアクア様の有難いご説明。ウィルスが原因の病気を治すために呪術師が施す処置なんだとか。ウィルスとそれ以外の存在をどうやった区別するのか気になるところです。

 前述の呪いのように、サイズで区別するのかな?しかし、ウィルスの仲間には細胞以上に大きいものもありますし…そもそも細胞に感染して融合したウィルスを殺さないと治療したことにはなりませんね。

 医療で使われる呪術は、アニすば!のスキル取得の描写のように、ウィルス由来の遺伝子的な何かに働きかけて呪い殺すと見た方がいいようです。

 それならば、呪術のよくある描写で、対象者の髪を使って呪いを掛けるシステムも説明がつきやすい。

 更に言うなれば、病気はウィルスだけではなく細菌や寄生虫…寄生型モンスターが原因の場合もございます。

 これらの治療にも呪術が使われるとなれば、やはり細胞のサイズというよりかは、遺伝子的な何かに働きかけて呪殺するという仮説の方がしっくりしますね。

 遺伝子で区別して対象を呪い殺すとあれば、先述した業種の他にも発酵管理とかもできますね。このすば呪術は素晴らしい。


 遺伝子という概念がこのすば世界に有るか無いかといえば、有るようです。このすばオークの解説時に明言されておりました。王族が神器を扱えるのも、血筋という曖昧なものでなく、遺伝子由来だということを把握してるかもしれません。

 滅びたノイズはかなり簡単に人体改造してましたね。子孫代々に残ってるので遺伝子を弄ったのでしょうか?

 農作物や家畜の品種改良とかなんか、地道に交配させなくてもあっさり改造出来そうです。


e. 昏睡の呪い

 外科手術の時に使うようです。麻痺とか麻酔とかも使っていそう。人に呪術を掛けるのは処罰対象になる筈ですが…きちんとした認可が下りた、正式な機関であれば、その場の責任者の判断で呪術を行使することは許されるようです。モグリや通り魔的な感じで呪術を掛けるのが良くないようです。ダイエットに呪いを利用する呪術師は、モグリをやめてキチンとした審査を経てから、開業医を目指しましょう。


 あと、この項目でこのすば世界で重要な設定が示唆されてるので触れておきますと。


 睡眠は状態異常じゃないようです。食欲減衰の呪いはアクアが解呪できました。ダクネス自身の死の宣告やダクネス父の大悪魔の呪いも解呪できました。しかし。カズマに掛けられた昏睡の呪いだけは、アクアに解くことはできないようです。

 そもそも、状態異常を防ぐ筈の神器を装備している筈なのに、お酒を飲んだアクアはよく寝ます。状態異常無効化のパッシブスキルを持つリッチーも、自ら深い眠りに就くことができるようです。気絶も同じ扱いなのでしょうか?


f. レジーナの呪い

 webすば5章のレジーナ信者時代のセレナやカズマが得ていたパッシブスキル。

 紙すば11のレイシーズゴースト討伐時にアクアに効かなかったのは…水の女神は呪いや状態異常を無効化する羽衣を装備していたからでしょうか?

 レジーナの加護も強力です。信者に与えられたダメージを、その発生源に帰すという因果応報的な効果の他に、殺害された時には死の呪いを周囲に振りまくんだとか。


g. 死の呪い

 マクスウェルやベルディアが使いました。時間が掛かってしまうので、およそ全ての点でセレナのデスの下位互換ですが…唯一、優れている点として考えられるのが、リザレクションが不可能であると考えられる特徴でしょうか。

 病死扱いになるようです。しかもこっそり掛ければ通常のプリーストには病気と区別がつかないようです。アクアが気付くことが出来たのはくもりなきまなこと悪魔の匂いに特に敏感な女神だからでしょうか?

 現役時代のウィズ達が途方にくれていたことから、対象者が死んでも肉体には呪いのデバフが残っているので蘇生してもすぐ死ぬとかそんな仕掛けがあるのかもしんないです。


h. 願いを叶えるチョーカー

 アニすば1期11話に出てきたアレです。呪いのカテゴリに入れていいものか悩みました。

 何故ならアクアに解呪できないんです。呪いじゃないかもしれません…が、あのエピソードは単純に解呪する方法を思いつかなかった、と解釈したほうがいいかもしんないですね。

 欲深いゲームに審判を!では強制スティールの指輪は呪いのアイテムではなく祈りの指輪なので解呪できない!という解釈でしたけど…11巻でアクア様はグリフォンやマンティコアが飛行するために使用しているバフ魔法を解呪していましたね。ステータス強化も祈りや祝福の範疇だと思うので、審判内での解釈は的を射ていないと感じます。


i. 飛行能力

 先の項目で触れたのでついでにここで述べておく。

 今のところ、飛行能力を有しているのが判っているのは翼つきの悪魔族、ワイバーン、ちょむすけ、秋キャベツ、マンティコア、グリフォンです。夏祭りに出てきた虫も飛んでいましたが…彼らは自力で何とか飛べそうな気がします。

 上記に述べた有翼種(?)は一般的に考えれば翼のサイズと身体のサイズ、体重などの比率が合わずに自力じゃ飛ぶのは難しいのでは?と思われているヤツらです。出来たとしてもワイバーンくらいだろうし…鳥類のように骨が滅茶苦茶にスカスカだったりコウモリみたいに特殊な身体構造してないと、飛翔するのは難しい。もしそんな貧弱な身体をしてたらギルドから強敵認定されてません。ですので先に述べた野菜や魔獣は飛行魔法を使っていると思われます。

 さて、飛行魔法はどの系統に属する魔法なのでしょう?

 このすば世界の魔法の系統で明かされているのは火水土風と神聖、光くらいでしょうか。

 雷や凍結がどのカテゴリに入るのかは判りませんか、爆裂魔法のように複合属性かもしれません。爆裂魔法は風と火を極めた者にしか扱えないようです。

 そういやウォルバク女神の半身たるちょむすけは火を噴くこともありましたね。あれが火系統の魔法となると、飛行能力は風系統の魔法になるのでしょうか?

 どんな方法で飛行するかについての解説は特にないようですけれど…その辺りは二次創作で工夫可能な領域な気がします。webすば番外編ではカズマを無理矢理に魔法で飛ばそうとしてました。方法も一つじゃないと思います。

 アニすば2期ではアクア様も飛んでいました。原作者も知らない神器の使い方の様ですが…アクア様は風もある程度は操ることができるのでしょうか?大抵の水神は嵐の中にも見出されているので、水の女神は風もある程度は司っていても問題なさそうです。


j.レベルドレイン

 webすば最終章のウィズ曰く、呪いの一種なんだそうです。

 レベルドレインが使える種族は限られていて、一部の高位の悪魔かリッチーか、伝説級のモンスターくらいだそうです。原作者の質問に対する回答で、伝説級のモンスターは邪神のような裏ボス的存在が含まれるんだとか…ウォルバク女神が相方を再封印する際に用いたヤツがレベルドレインなのでしょうか?となると今現在はちょむすけも、もしかしたらレベルドレイン行使できる可能性があるのかな?

 紙すば!でレベルドレイン効果を持っていた不死王の手はアルカンレティアでチラリと出て来ましたが、レベルドレインについては言及されておりません。カズマのレベルについて言及あったので、その内に出てくると思うんですが…


k. 注射器

 呪術師関係の項目なのでついでです。カズマが病院に連れて行かれる際ですが、アクア様はこう仰いました。「この世界に注射はまだ無い」と。食文化などで意外と現代的なこのすば世界ですけれど、病原菌以外の病気なんかも意外と魔法で治せるかしんないんで、注射器そのものはあまり必要とされてないかもしれません。麻酔も呪術で代用できちゃうし。

 ただし。アルカンレティアなんかでは魔導金属製のパイプが出てきます。注射針は細いパイプみたいなものなので、時代が下れば普通に開発されそうです。使い道は他にもいっぱいありますし。

 金属製の筒といえば銃火器が真っ先に思いつきますけれど…火薬に関していうならば、カズマの時代になって漸く爆裂ポーションが出てきた様なので、も少し時間が必要かもね。螺子に関していうならば、蝶番が既にあったり全身鎧もあったりするので技術的には問題なさそう。

 大量生産に必要な規格化なんかは解りませんが、弓矢と違って矢羽根の必要が無かったり、魔法と違ってスキルポイントを費やす量も抑えられるなどコストに対するメリットは十分にあるので何らかの事情が無ければ需要はありそう。

 銃社会の構築を恐れた転生者とか女神様とかが絶対にこんなもんは開発すんなよ!ということで普及を抑えてしまうとかあるのなら大体納得しますけど。

 でもなー。物を飛ばすこと。この一見すると単純な現象を、自在に操ることが出来たから、ヒトは繁栄したのだし。何処かの誰かが秘密兵器として開発していても、特に不思議は感じませんね。


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このすば二次創作用・考察ノートおよびネタ管理 hiromi2号 @hiromi2

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