明日もきっと。

僕は夢の中にいた。

夢の中と分かっていて、この感覚が何処と無く落ち着く。

少しばかり考え事をしていると目の前には一人の少女がいる。

僕は名前を尋ねた。

すると少女は「ティル」と名乗った。

そう、少女はティルの幼き頃の姿。

ティルは僕がこの世界に来たのは彼女がたまたま転生陣を作ってしまい祈りを捧げたからだと言う。そんな無茶苦茶な話があってたまるかと思ったがこの世界に来れて少し楽しかった気もする。嫌な気持ちにもなった時もあったがこれはこれで有りなのかなと。


ティルは言った。もう貴方の役目は終わったのだと。

僕がこの世界にいる理由がなくなった。

前までは元の世界に戻る方法が分からなかったのだが今になってやっと分かった、と言うか考えた。

この世界で一度死ねば元の世界に戻れるのじゃないかと。

これは夢で何かショックを与えれば戻れるんじゃないかと。

それを僕は試そうとした。

夢から覚めた直後、近くにあったナイフで自分の首を切り落とした。

以前まではこんな勇気も無かった僕がこうして一人の人間として死んでいく。

どんなに怖い事か、どんなに苦しいことか。

それを気づいたのはティルやみんなのおかけだと感謝を告げた。




スーッ



「ピロンッ」

目の前のPCのメールに通知が来ていた。

僕は通知音で目覚めた。

もっと良い起き方は無かったのだろうか..

不覚にもそんなくだらない事で頬が緩んでしまった。

向こうの世界に行っていた間僕の体にはなんの栄養も送られていなかった為とてもやつれていた。


長かった異世界生活が終わり疲れ果てた僕はまた眠りについた。

そう、永い永遠の眠りに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君の為に僕は今日も。 暴虐のカズ @Renaissance

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ