第5話 私の家の日常

 今日樹里が入っていたこと、それは簡単に尾行してみようというのだ。

普段樹里はそんなことしないのだが、今回のことについては結構気になっている様子だった。


「なんたって三大名門関係だもんね〜。」


小さな明かりがちらほらつき始めた頃、この1人部屋でつぶやいた。

樹里は三代面もんについていろいろ知らないからできるだけ情報が欲しい見たそうだ。(私もだよ)

だからなんとしても知りたいんだよね。


「舞夢様、お食事の用意が整いましたので食堂へ来てください」


「あっ、うん。ありがとう」


落ち着いた声でそういったのはメイドさんの鈴(れい)さんだった。

彼女は私が5歳くらいの時に来た人だ。落ち着いていて、小さい頃から鈴さんのことはお姉ちゃんおように慕ってきた。とても綺麗な人だった。流れるような黒髪を一本に結んで、お人形のように整った顔立ち。女の私が見ても綺麗としか言えないのだった。

そういえば今日からおばあちゃんたち旅行に行くって言ってたっけ。

そんなことを考えながら食堂へ向かうとズラリと並んだ料理があった。

匂いをいかいだだけで食べているような感覚になる料理たちはすごい食欲を誘った。


「いただきます」


そう言って一目散に料理を食べた。でもマナーを守ってだ。

こんな私がなぜマナーなんかを守るかというと、メイド長の美奈江さんにこっぴどく叱られるからだ。美奈江さんは悪い人ではないのだが、必要なこと以外は何も言わない無口さんだった。


 私は部屋に戻ると、作戦を考え始めた。


「えーとまず気づかれないようにしなくちゃいけないから、、そうだ!

変装だ!前に漫画で見たけど、変な人になればいいんだよね。」


私はクローゼットから変な服を引っ張り出した。


「これとこれ、あとこれも!」


来てみると我ながら上出来だった。黒いニット帽に紺色のジャケット腹巻を大量にして太り、それに合わせてぶっといジーンズ。そして上げ底シューズで5cmくらいあげる。


「こんな人きっとどこにでもいるちょっと変わったおばさんとしか思わないよ!!」


コンコン


「舞夢様、鈴です。入ってもよろしいでしょうか」


「あっどうぞ」


「失礼します」


「、、、、、、、。」


「鈴ちゃん!いつも2人の時はタメ口使ってって言ってるでしょ!もう」


そう言ってそっぽを向いた。鈴ちゃんは小さい頃からいたからずっとタメ口だったんだけど、12、3歳くらいからいきなり敬語に変わっちゃたんだ。

(鈴ちゃんが成長したってのもあるけど)

来た時は私が5歳で鈴ちゃん9歳だったもんね。その頃は見習いだったから仕事がなくてお父さんとお母さんから仕事おそわってたっけ


「舞夢ちゃんごめんって。さっきは後ろで美奈江さんがライオンみたいな目で見張ってたんだもん」


「えっまじで。あんときタメ口使わなくてよかったー」


「でしょ」


「うんありがと」


「、、で、舞夢ちゃんなにそのかっこう」


「あ、これは変装だよ変装」


「変装?」


「うん実はクラスに転校してきたこのことがなんか家に関係してそうなんだよ。だから尾行するの」


「そうなんだ〜。でも尾行するならもっと溶け込むためにかわいい格好しなよ。いつも学校に来て行かないようなの」


「おおっ」


やっぱり鈴ちゃんはすごいや。なんでも協力してくれる。でも尾行することに何にも突っ込まれなかった。なんでだろ。(もっと聞いて欲しかった)


そうして鈴ちゃんに選んでもらった服はまるでファッション雑誌に載っているような服だった。髪もしてもらって良い意味で別人になれた。


「鈴ちゃんありがとう!明日はこの格好で行ってみるよ」


「うん。頑張れ。今日はもう遅いし寝ようか」


「そうだねおやすみ鈴ちゃん」


「おやすみ」


「失礼しました」


そう言って鈴ちゃんは部屋を出て行った。


「明日が楽しみだなぁ」


そういったと思ったら私はすぐに眠りについた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る