第3話 作戦会議

次の日私はいつもより少し早く家を出た。

 

「おっはよー」


「おはよー舞夢」


まだ樹里は来ていないと思っていたが、樹里はやっぱり先に来ていた。いつも私がどんだけ早く家を出てもジュリは来ている。なんでか聞くと、『なんとなく早く出ようかなって思ったから』と答える。


お前はエスパーかっ。って心の中で突っ込んでいたりもした。


「あっ樹里おはよう。ちょっと聞きたいことあるんだけど」


「うん。なになに」


「実は昨日おじいちゃんに氷道君のことを話したら最初の方はいつもの顔だったんだけど、氷道君の名前を出した途端顔が怖くなったの。ダウしたのって聞いても何も答えてくれないし」


「うんうん。家もそう。いくら聞いてもなかなか答えてくれないの」


「そっかー。ってことはさ、三大名門関係じゃない?もしかしたら氷道くん家があと一つだったりしないこともないかもよ」


「紛らわしいわ」


そう言って思いっきりつっこまれた。


「ねえ樹里、二人で探ってみない」


「いいね。それ賛成」


「じゃあ明日家集合ね」


「オッケー」


そういった感じで私と樹里の作戦が始まった。

 ピンポーン

玄関のベルが鳴った。早足で玄関に向かい、樹里を迎えた。


「お邪魔しまーす」


「やあ樹里ちゃん、いらっしゃい。私達はちょっと出かけるけどゆっくりして行ってね」


「はい、ゆっくりしていきます」


そう言っておばあちゃんとおじいちゃんは出かけて行った。だからこの日を選んだ。二人がいないからコソコソせずに探れるんだよねー。


「よしっ、まずは家の倉庫にある本から読み漁るぞー」


「「おおーー」」


ギギギギ 嫌な音を立てて倉庫のドアが開いた。


「うわあ」


私たちはあっけにとられていた。なんたって広い広い。しかも埃まみれで足の踏み場も探さなければない。まるでゴミ屋敷のようだった。

ガチャガチャ シャラシャラ コロコロ ギガギガ


「、、、、。何もないね」


「うん」


『ガチャ』


「お財布忘れたわ」


そう言ってなんとおばあちゃんが帰ってきてしまった。


「ちょっ、やばくない」


「どうしよう」


「私がおばあちゃんの相手しとくから樹里は扉閉めてできるだけ音が出ないようにしてて」


「了解」


私は急いで埃を払い、玄関に向かった。


「あっ、おばあちゃんおかえり。早かったね。どうしたの」


「ああ、実はね財布忘れちゃってね、多分倉庫にあると思うんだけど」


「えっなんで」


いやいやいやお財布倉庫に置いとくってどんな考えだよ。倉庫って普段あんまり使わないもの置いておく場所じゃなかった。しかもあんな埃まみれのところに。


「いやあ昨日倉庫整理してたら書物にハマっちゃってね」


「なんでそこで財布を持っていく」


気持ちいツッコミができた。

そこに満足しているとおばあちゃんがいつの間にか消えていた。


「まさか」


ダダダダダッ 倉庫にダッシュ


「おばあちゃあああん」


「おや?どうしたの舞夢」


「えーと、あの、ほらおばあちゃんくらいとあんまり目が見えないでしょ。だから私が取ってきてあげる」


「えっでも」


「いいからここで待ってて」


そう言って私は大急ぎで財布を見つてきた。

ガッチャーン ガタガタ ゴソゴソ


「はあはあはあ。どっどうぞ」


「ありがとう。また行ってくるわね」


「行ってらっしゃい」


ガチャ


「、、、。はあああああああああああああ」


とてつもなく大きなため息をついた。あの山の中から小さな財布を見つけ出したのだ。すごく疲れた。


「大丈夫?」


「あ、樹里。大丈夫だよ。それよりそっちはどう。なんかいいものみつかった?」


「ううん。何にも見つからなかった」


「そっか。やっぱないよね」


「うん」


「どうする」


「うーーん」



「あっ、思いついたんだけど、ここじゃなくて実際に本人に来た方が早いんじゃないかな」


「おお!でかした樹里。早速明日聞いておくよ」


「うんよろしくね」


「それじゃあ今日することもなくなったし遊ぼっか」


「そうだね」


 そうして私たちは遊ぶことになった。庭に出て十分ほど歩いたところに公園、いや遊び場がある。なぜ遊び場かというと、その公園のようなところは私の家「炎道家」の敷地内にある専用の遊び場だからだ。十年住んでもここが自分の家なんて信じられない。前はお父さんとお母さんと夏休みに少し帰ってきたくらいだからな。


「やっぱり舞夢ちゃんの家は大きいね。私の家もみんなからは大きい大きい言われるけどここに比べてら三分の一くらいだもんね」


そう。樹里の家も小さいわけではない。しかも普通の人から見ればそうとう大きいはずだ。それよりも大きい子の家はこの大都市キーラスの土地の約5分の1を占めている。だから家は、もう家っていうより小さな町みたいなもんだ。

入口も6個くらいあって、部屋なんか30個以上ある。

そんな家に3人で暮らしているから広すぎる。ここに来て部屋を覚えるのに一年はかかった。友達を呼んでも必ず1人は迷子になる。


「あははは。うん広すぎるよ。」


「まあそんなことはさておき、樹里、あそぼ!」


「うん。そうだね」


そうして私たちは遊び始めた。最初は遊具で遊んでいたが、だんだんつまらなくなってきて、ついに魔法で遊び始めた。(遊ぶって言っても魔法練習用の的に得点をつけて競ってるだけだけどね)


そんなことをしていたら、いつの間にか暗くなっていた。樹里の家はここから結構遠いが、移動魔法を使えば一瞬だ。この移動魔法は三大名門しか使えない。

こういう時だけ三大名門に生まれてよかったと思う。


「じゃあまた明日」

 

「うん」


「タイ・イラ・ゲラ・ガサン」


樹里が唱えると、彼女の下に大きな魔法陣が現れた。そして彼女を包み込みそして、樹里は消えた。(移動した)


「よーし!明日も頑張るぞー!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る