衰退し孤立した世界で、青年が選択した未来は。

資源の枯渇が著しく、衰退していく地球ーー
ジブル国の青年ゼイツは、父ザイヤから、ある任務を命じられた。連合に加盟せず、独自の宗教を守っている小国ニーミアへ潜入し、彼らが用いようとしている『禁忌の力』について調査せよ、というものだ。遥か昔に存在していたと伝えられる、魔法のようなエネルギー。現在は多くの国が使用を禁じている力とは、どのようなものなのか。
ニーミア国へ潜入し傷を負ったゼイツは、隻眼の美女ウルナと出会った。彼女に匿われながら、ニーミア国の内情を探るゼイツ。ウルナの弟クロミオ、ルネテーラ姫らと暮らすうちに、女神ウィスタリアを信奉するこの国の歪みが見えてきた。ウルナの隻眼の理由は。彼女たちの関与する実験とは? やがて、大国の力に脅かされるニーミア国で、ゼイツはある選択を迫られるーー


冒頭から緊迫感のある状況と、緻密で臨場感のある描写に惹きこまれます。間諜であるゼイツと、謎めいた美女ウルナの間で交わされる遣り取り、彼らの心が徐々に近づいていく心理描写が見事です。謎が謎を呼び、状況が次々と変化していくため、物語の進行から目が離せなくなりました。
滅びかけた地球で、彼らが最後に辿り着いた場所に、安堵させて頂きました。ダーク要素の強いSFファンタジーのお好きな方に、お勧めします。

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