第8話 普通の第3部「最後の選択」1

やっと、メイン!!! (今の所。)わざわざ伝説から書いたよ! 的な、第1部と第2部。調べものが、ほぼ無しで書いているので楽だが、そろそろ頭がこんがらがってきたぞ!?


打ち上げって、これぐらいでいいのか。あと6万字だが、整理や終わりに向かわせないと10万字で終わらないのか!?



ここはポンジャ城。


「うわああああああああああああああ!!!」


怪物が叫ぶような、もがき苦しむ声がお城中に響き渡る。


「は~っ、は~っ、・・・うわああああああああああああああ!!!」


闇に覆われた世界で、成人男子の発狂する声だけが聞こえている。


「気味が悪い!? ここはどこなの!?」


初めて闇に覆われた不気味な世界、この場所にやって来た1人の成人女性が戸惑っている。ナナナナである。目覚めた時には1人きりになってお城の床に倒れていた。左右を見渡しても誰もいない。


「うわああああああああああああああ!!!」

「キャア!?」


そして雷鳴のように城中に響く化け物の叫び声。声がする度にナナナナは恐怖のあまり声をあげ、その場にしゃがみこんでしまう。


「ここは、いったい、どこなのよ?」


お城の中には誰もいない。建物の中だからなのか、暗く光も炎の明るさもない世界。小さな窓から遠くの外を見渡しても、外も闇の世界が広がっていた。うっすらと太陽の光なのか、月の光が地上に届いているようだった。


「ここはポンジャよ。」


闇の中から女性の美しい声が聞こえてきた。そのどこかで聞いたことのあるような声は、この闇で覆われた世界が、緑と水の豊かな国、ポンジャだというのだ。


「誰!? 誰かいるの!?」


ナナナナは周りを見渡すが、暗すぎて良く見えない。ただ誰かいるのか確認したいのか? 詳しい話を聞きたいからなのか? 自分が理解できないことが恐怖を生み出しているのかは分からない。


「こんにちわ。」

「キャア!?」


突如、ナナナナの目の前に1人の女性が現れる。ナナナナは暗かったとはいえ、3歩ほど自分の前にいる女性に気づかなかったことに驚く。


「キャア!? キャア!? あなた誰よ!?」

「私? 私は・・・あなたよ。」

「え?」

「私はあなた。あなたは私よ。」

「ええ!?」


ナナナナは、現れた女の顔を覗き込んだ。恐怖よりも、少しでも情報が欲しかった。少しでも落ち着きたかった。


「わ、私!? 私だ!?」


現れた女性もナナナナだった。でも、よく見るよ、自分よりも少しだけ更けている様にも見えた。


「だから、言ってるじゃない。私はあなただと。正確に言うと未来のあなたね。」

「未来の私!?」


把握しきれていない現状に、思考より恐怖が勝っていたが、目の前の何者かと会話することでナナナナに人間としての本能が働きを取り戻してくる。


「私の名前はナー。」

「ナー!?」


ナナナナは思いだす。自分のことをを「ナー」と呼ぶ人間のことを、そう、私はコウと一緒に次元の入り口に飛び込んだはずだった。


「コウ! コウはどこ!?」

「いるわよ。会いにいきましょう。」


ナーはナナナナをコウのいる場所に招こうとする。後を付いていくナナナナだったが、どんどん化け物の叫び声に近づいていく。


「うわああああああああああああああ!!!」

「この道で合ってるの!?」

「合ってるわよ。あの部屋の中にコウはいるわ。」


不気味な雰囲気、押し寄せる嫌な緊張がナナナナの息を詰まらせる。コウに会いたいと思ったのに、今は何かを見るのが怖いという不安の気持ちが強くなっていた。


「え!?」


部屋の中には目の据わった長い闇色の髪、闇色の目、叫び疲れているのか呼吸は乱れ、息を切らせている。


「これが叫び声の主!?」


一般成人男子は王の間で王の玉座に座っている様に見えた。見るからに狂いそうなほど、壊れそうなほど、苦しそうにいきていた。


「この人は、いったい?」

「コウよ。」

「え?」

「この正気を保つのが精一杯の男が、ポンジャ5世になった、コウよ。」

「ええ!?」

「国民は狂気の王と呼んでいるわ。」


ナナナナはコウと再会した。しかし再び出会ったコウは国王になっていた。それよりもコウの常軌を逸した姿、気が狂ってしまっているのではないかと思わせる精神状態、コウの狂気の沙汰しか目に映らなかった。


「コウ!? コウどうしたのよ!?」

「はあ・・・はあ・・・。」


ナナナナが呼びかける声は、コウには届かない。コウの精神は落ち着かないで、常に幻覚が目の前に広がり、ナナナナの声も幻聴や悪魔がささやいているように聞こえる。


「コウは現実に苦しんでいるのよ。」

「現実?」

「コウがこの世界で行ってきたこと、あなたの生きていた時間での出来事、そして、これからのコウが行うこと。過去、現在、未来、1人の人間が背負うには重すぎて、もう抱えきれなくなっているのよ。」

「うわああああああああああああああ!!!」

「コウ!?」

「はあ・・・はあ・・・。」


闇の狂気に襲われ続けるコウ。闇に呑み込まれないように、闇に堕ちてしまわないように、必死に崩壊寸前の精神で耐える。


「コウ、大丈夫!? あなた、どうして助けないのよ!? それでも私なの!?」

「私は全てを見てきた予言の巫女。」

「予言の巫女!?」

「私の仕事は生きること。」

「ん? んん!?」

「コウは、私に助けられることを望んでいない。」

「え!?」


ナナナナは、ナーの傍観者のような態度が信じられないと思いながらも、自分の理解を超える目の前の光景に、何と言えばいいのか頭の中の整理ができないでいた。


「コウを助けることができるのは、あなたよ。」

「え!? 私!?」

「そう、この世界にやって来たばかりの私。あなたしかコウを闇から救うことはできないの。」

「ど、どうして私が!? いったい何を言っているの!?」


パニックが、さらにパニックを深めていく。この世界のことも分からない。自分の世界にいた時のコウは普通の人間に見えた。しかし、この世界のコウは今にも消えてしまいそうだった。


「あなたには知る権利がある。あなたがコウを受け入れるためには、コウに何が起こったのか、何をしてきたのか、これからどうなるのか・・・コウが最後に何を選んだのか。」

「コウが最後に選んだ?」


いったいコウに何があったのだろうか? 考えてもナナナナには分からなかった。コウの最後とは、何を意味するのだろうか?


「私は全てを見てきた。時間を超え、時空を超えて、現在、過去、未来。全てのコウのことを見てきたわ。」

「え・・・ええ!?」


ナナナナは戸惑っていた。コウのことを語るナーは、まるで好きな人のことを、愛する人のことを語るように、愛など無いだろう闇の世界なのに、もう1人の自分が幸せそうだったから。


「あなた、ハチハチのことが好きだったわよね?」

「な、なな!? い、いきなり何を言い出すの!?」

「死んだわよ。」

「え?」

「コウが殺したのよ。」

「え!?」


ナナナナは、不意をつかれたようにキョトンとする。ずっと好きだった人の死を聞いた。ずっと一緒にいた人の死を聞かされた。不思議と脱力感はない。それは、コウが殺したと聞いたから? なぜコウがハチハチを殺したのかを聞くためである。


「どうして!? どうしてコウがハチハチを!?」

「私は、あなたに知る権利があると言った。これがあなたの運命なのだから。」

「私の運命!?」

「誰にも運命を変えることはできない。あなたがコウの生い立ちの姿から見ることも運命。」


ナーは、時をかける予言の巫女として、聖なる六芒星と闇の五芒星を繰り出す。光と闇の輝きが1つになり混沌とした歪な輝きを放つ。ナナナナの精神世界に、コウの生まれた頃の過去を見せる。



コウの生い立ちの回想を見る、ナナナナの精神世界。


「ここは・・・どこ? 私はどうなっちゃったの!?」


ナナナナの姿は誰にも見えない。自分の体も透けているように感じる。浮いているような、存在すらしていないような、初めての浮遊する感覚に戸惑う。


「ここはポンジャ。あなたは精神体となり、時を超えて、コウの生まれた時の世界を見ているのよ。」

「精神体!? コウの生まれた世界!?」

「最初から分かる人なんていないわ。私も好きで時をかける予言の巫女になったんじゃないもの。」

「ナー?」

「でも、これも私の運命。将来、あなたがたどる運命。」

「運命って?」


なに!? 今の!? ナーの表情を見て感じた違和感。時を越える強大な能力を得た未来の私? それなのに、どこか表情が悲しそうに見えた。ナナナナは、自分の思い違いかと半信半疑になる。


「さあ、おしゃべりは終わりよ。コウが一般成人男子になるまでを、足早に見ていきましょう。早くしないと、コウの精神が崩壊してしまうから。」


ナナナナとナーは、コウの生い立ちから時を見ることになった。



コウ、望まれて生まれる。


「オギャア! オギャア!」


コウが生まれた。生まれたばかりの赤ん坊を抱く女性。コウの母親は、先のポンジャ王3世の妹ポン姫であり、現ポンジャ4世のお妃である。ここはポンジャ城であり、ポンジャ姫の部屋である。


「あなたは、この国の王になるのよ!」


コウは王子として生まれた。優しい王妃の愛に包まれて、普通であれば、何不自由のない優雅な王族としての暮らしが待っているはずだった。


「おお! 生まれたか!」


そこに王様がやって来る。王子の誕生と聞き、笑顔で王妃と赤ん坊に駆け寄ってくる。


「王子だ! このポンジャの跡取りになる王子だ!」

「はい、あなた。」

「でかしたぞ! 王妃!」


幸せそうな家庭であった。そして、この息子の誕生を喜んでいるのが、現在の国王、ポンジャ4世であった。そう、ハチハチである。


「ハッハッハ!」

「オホホホホ!」


ハチハチは、ポンジャ3世との戦いに勝利し、見事に国王になったのである。


しかし世界は邪悪なる者に覆われ、日に日に太陽の光が大地に、人間に届かなくなっていた。まさに闇が世界に広がり、暗黒の世界になろうとしていた。


コウを数奇な運命が待ち構えていた。


「いいか、もっと闇を感じろ。闇をイメージするのだ。おまえは、この世界の王になるのだから。」

「はい、父上。」


コウは子供ながらに、闇の五芒星を作れるようになった。


「そうだ。おまえの中には優しい温かい心がある。この世界を覆う邪悪なる者を払いのける聖なる力を普通に使えるはずだ。」

「はい、父上。」


コウは子供ながらに、聖なる五芒星を作れるようになっていた。


「まるで父上が2人いるみたいだ?」


ある日は、闇。ある日は、聖。子供のコウは、父であるポンジャ4世のことが分からなかった。子供だと自分のことをからかって遊んでいるのか? 何かの病気なのか? まるで二重人格者のように思え不思議なのだった。



ポンジャ4世の部屋。


闇の世界。太陽の光も月の光も、邪悪なる者ヨンの邪念の蔦で世界は覆われている。火を灯していなけらば、明るさは手に入らない。それなのに1人でいるポンジャ4世の部屋には光はなかった。


「おまえの思い通りには普通にさせないぞ!」

「それはどうかな?」


誰もいない部屋で、ポンジャ4世は一人で叫んでいる。どこからか返事をする声が聞こえてくる。声を耳で聞いているというのではなく、闇の声がポンジャ4世の心に囁いている。


「もう立派に闇の力を使えるようになった。私の自慢の息子だよ。」

「違う! コウは、僕の子だ!」


2人の父親。コウの違和感は正しかった。ポンジャ4世の肉体は、ハチハチのものだった。しかし、2人の人格が1つの肉体に存在していた。


「僕の体から出ていけ! ポンジャ3世!」


ポンジャ国を建国したポンジャ一族。その3代目が国王ポンジャ3世だった。しかし、魔物とかしたポンジャ3世は、ハチハチが必殺の1撃「ホーリー&ダーク!!!」を撃ち込み、倒したはずだった。


「この世は、いずれ闇に覆われる。人であるおまえは死に、この体は完全に私の肉体になるのだ! ワッハッハ!」

「クッ!?」


なぜポンジャ3世がいるのか? 確かにハチハチが倒したはずなのに・・・!? 事件は、ハチハチがポンジャ3世を倒した後に起こる。



ハチハチ対ポンジャ3世の戦いの回想。


「ホーリー&ダーク!!!」

「ギャア!?」


ハチハチの必殺の1撃がポンジャ3世に命中する。魔物とかしたポンジャ3世は断末魔の叫びをあげ塵となって消えていく。


「やったぞ!」

「ハチハチが魔物を倒したぞ!」

「さすが、わしの孫じゃ!」


ハチハチと暗黒の騎士たちは喜ぶ。これで世界が少しだけ、少しだけだが平和になった。あとは邪悪なる者だけだ。


「コウ、僕は約束通り普通に悪い王を倒したぞ!」


未来に帰って行った未来の息子に勝利を伝える。コウの生きる世界が少しでも、良い世界になることを願って。


「ナナナナ・・・。」


そして、この世界の危機から逃れてもらい、生き続けてほしいと願い、自分の息子に託した。ハチハチはナナナナの無事を。平和に暮らしてくれると信じた。


「俺たちも時間がきてしまったようだ。」

「私たちも寿命が尽きようとしている。」

「さ、さ、最後に人間に戻れて良かったです。」

「今度はあの世で引きこもるわ。」


イチ、ニ、サン、ゴーの4人が先に空高く舞い上がり消えていく。自ら闇に堕ち、暗黒の騎士になった伝説の勇者たちが、天国に行けるのかは分からない。


「おまえは立派なわしの孫じゃ。」

「じいちゃん。」

「ヨンは倒せなかったが、偽りの国王だけでも倒せてよかった。おまえなら、きっとヨンも倒せるはずだ。がんばって、世界を平和に導いてくれ。」

「わかったよ。僕が普通に世界に平和を取り戻して見せるから、じいちゃんたちは安心して、安らかに眠ってよ。」

「ありがとうよ。ハチハチ、おまえに会えて普通にうれしかったぞ!」

「僕もうれしかったよ! じいちゃん!」


ハチの姿も空高く舞い上がり消えていった。その表情は満足そうな笑顔を浮かべていた。こうして伝説の勇者ハチの物語は幕を閉じたのである。


「ああ、誰もいなくなっちゃったな。」


疲れ切ったハチハチは1人になった。ナナナナもいない。コウもいない。ハチたち暗黒の騎士もいない。ふと戦いが終わった後に哀愁が漂う。


「私がいるぞ!」


つづく。


1話5000字で、投稿してみると5000字を越えていた。ゆっくり書いたり、カットで書いたり、できるだけスムーズにストーリーが進むようにしているのだが、なんとも言えないかな?

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