ホーリー&ダーク!(⋈◍>◡<◍)。✧♡

渋谷かな

第2話 普通の第1部「伝説の10人勇者」1

ストーリー。


物語の舞台は、平和だったポンジャ王国。しかし魔王モヤイの手によって闇に支配されてしまった。魔王モヤイは、ポンジャ姫をさらい、自分の妻にするというのだ。激怒したポンジャ王は、若者を集めて、魔王モヤイの討伐とさらわれたポンジャ姫を救い出すよう王命を下した。


普通のロールプレイングゲームの世界観である。



「よく来た、勇者候補生たちよ。」


ジャンルは、普通の異世界ファンタジー。

舞台設定は、普通のお城やドラゴンの中世ヨーロッパ風。

主人公は、成人男子(20才)の男。名前は、ハチ。職業、勇者候補生。


「はい、王様。」


国の名前は、ポンジャ。

国王の名前は、ポンジャ王。

今いるお城の名前は、ポンジャ城。


「魔王モヤイに、ポンジャ姫がさらわてしまった。」

「姫が!?」

「勇者候補生たちよ、魔王モヤイを倒し、ポンジャ姫を救い出してくれ。」

「おお!」


旅の目的は、2つ。

魔王モヤイにさらわれた、ポンジャ姫の救出。

魔王モヤイを倒すこと。


「魔王モヤイを倒し、伝説の勇者になるのだ! いけ! 勇者候補生たちよ! 冒険の旅へ!」

「ははあ!」


こうして、普通に勇者候補生たちは、魔王を倒し、姫を救い出す旅に出発することになった。



暗中模索。


「???」


たぶん大人が読みたい作品は、こんな感じの落ち着いた物語だろう。大人は疲れているし、普通の物語を淡々と読みたいと仮定する。


「???」


ただ、求められている「エンターテイメント」というものがない。異世界転生は禁止。ということはチートな特別スキルもダメだろう。


「???」


大人が喜ぶとなると、ストーリーの質で続きを読みたい、楽しみというレベルで書くか、チートでない、普通のスキル、普通の物語で進めるか?


「???」


異世界転生は禁止なのに、0コンの絵は異世界ファンタジー?

大人が読みたいなのに、エンターテイメントを要求?


「???」


矛盾だらけだ。

きっと、これを考えた人間が、大人だが子供なんだろう。



ということで、普通に書き始めた異世界ファンタジーに、残念ながらエンターテイメントを足してみよう。


「それでは勇者候補生たちよ、旅の準備を始めよう!」

「おお!」


魔王モヤイを倒し、ポンジャ姫を救うために、最低限の装備品などを支給してくれるようだった。


「まず、好きな装備を選んでくれ!」

「おお!」


ポンジャ王が3択を提示する。「魔王モヤイを1撃! 最強の剣!」「普通の剣」「蟻も殺せない錆びた剣・・・」の3つだった。


「誰だって、最強の剣を選ぶだろ?」

「さあ、好きなのを選んでくれ!」

「普通の剣。」

「なぜ!? 普通の剣!?」

「あ、錆びた剣を選んだ奴もいる・・・。」


仮に勇者候補生が100人いたとしよう。98人が最強の剣を選んだとしよう。普通の剣を選んだのは、ハチ1人だった。


いきなりチート的に、最強の剣なんかをもらったら、何が楽しいんだか分からない。1から育てていくことが楽しいのである。レア装備をドロップでゲットしたり、強化で強くしたりするのが、大人は楽しいのである。


「次に、好きな仲間を選んでくれ!」

「おお!」


ポンジャ王が3択を提示する。「魔王モヤイも瞬殺! 天空の騎士!」「普通に一人旅」「大爆発は正義! 爆裂魔法使い!」の3つだった。


「誰だって、騎士か魔法使いを選ぶだろ?」

「さあ、好きなのを選んでくれ!」

「普通に一人旅。」

「なぜ!? 普通に一人旅!?」

「ソロゲーに憧れているんだろう・・・。」


仮に勇者候補生が100人いたとしよう。90人が騎士と魔法使いを選んだとしよう。普通に一人旅を選んだのは、ハチを含め10人だった。


最近のアニメやゲームなど、事前登録で特典で強いキャラクターがもらえたり、最初からチームやギルドで強いプレイヤーばっかり集まったり、チャットなどあると気分を害する人が多いので、引退する人が多い。あえて大人は、ストレスを受ける、チームやギルドに入らない人が多い。


「最後に、好きな彼女を選んでくれ!」

「おお!」


ポンジャ王が3択を提示する。「きれいな顔立ちのスラットした、モデル体型の美女!」「普通に姫を助け、姫と結婚する。」「巨乳で露出が多めの、セクシーな美女!」の3つだった。


「誰だって、モデルか巨乳を選ぶだろ?」

「さあ、好きなのを選んでくれ!」

「普通に姫を助け、姫と結婚する。」

「なぜ!? 普通を選ぶ!?」

「姫を助けるまで、イチャイチャできないぞ・・・。」


仮に勇者候補生が100人いたとしよう。90人が美女を選んだとしよう。普通に姫を選んだのは、ハチを含め10人だった。


勇者候補生は成人男子100人として、姫を助けて、姫と添い遂げるというのが理想であるが、目の前に王様から美女が支給されたら、美女を選ぶ。「成人男子が読みたい」エロ本だろ? エロは禁止ではないのだが、エロは官能小説しか売れないだろう。


「それでは勇者候補生の諸君、冒険に行きたまえ!」

「おお!」


しかし、この時点で生き残っている勇者候補生は10人しかいなかった。なぜかというと、力量不足で最強の剣を振るえない者。ちょっとしたことで天空の騎士と爆裂魔法使いとケンカをし重傷を負った者。ハニートラップに引っかかり、美女に溺れて世界を救うことを忘れた者。


「大人の世界ではよくあることさ。」

「そうだな、普通が1番だ。」


残った10人は、最強の剣8人、普通の剣1人、錆びた剣1人。全員が普通に一人旅を選び、全員が普通に姫を助け出し、姫と結婚するを選んだ。もしかしたら勇者の資格のある人間を、王様にふるいにかけられたのかもしれない。


大人は、水戸のご老公様のように、正義が勝つ、ハッピーエンドが好きである。ハチがお城を出ようとすると、いかにも勇者らしい成人男子が自己紹介してきた。


「俺はイチ。よろしくな。おまえは?」

「僕はハチ。こちらこそ、よろしく。」

「ハチはどうして、普通ばかりを選んだんだ?」


エンターテイメント的に書いたつもりだが、理に適っていた。大人用に勇者はいじらずに、設定をいじればいいのだろうか。


「僕は、普通が好きなんだ。」


主人公のハチは、普通が大好きな、変わった? いや、普通な人間だった。呪われていて、選択肢は普通しか選べない、かわいそうな人間ではなかった。


「変わってるな。」

「よく言われるよ。普通なら、みんな一緒。ケンカすることもないだろう。でも人より秀でていると妬みや嫉妬を生み、他人から恨まれてしまう。逆に人より劣っていると、劣等感を感じながら生きることになる。」

「確かに。」

「僕は、上も下も、揉め事も嫌だから、普通を選ぶことにしたんだ。」

「おまえ、大人だな。」

「だって学生とは違う、成人男子だから。」


大人って、辛い。学生設定であれば、異世界転移だの、チートスキルだの、現実逃避ができる。しかし、大人の主人公って、それができない。大人が読み、成人男子が主役の異世界ファンタジーだろうか?


つづく。



「???」


区切りがいいので投稿して、字数を確認。2700字・・・。1話3000字だと30話を越えてしまい、読む人の負担になる。やはり1話5000字以上が、良いペースか? 大人って、辛いな。


さっさと10万字終えたい。大人なら、きっと共感してくれる、はず。



続き。


「まずはポンジャ城の隣にある、街に行って武器屋、薬草、泊る宿屋を決めようぜ。」

「そうだね。」


勇者候補生のハチとイチは、ポンジャ城の城下町キョウトウに行って、旅の身支度を整えることにした。


「ちょっと待って~!」

「なんだ?」

「私は、ニといいます。」

「俺はイチ、こいつはハチ。」

「よろしく。」

「こちらこそよろしくお願いします。」


その時、いかにも協調性のありそうな成人男子が声をかけてきた。大人は新キャラクターが出る度に、挨拶をしなければいけない。


「これから街に行くの?」

「そうだ。」

「よかったら、私たちと一緒に行きませんか? もう勇者候補生も10人しかいませんし。」


そう、100人いた勇者候補生は、ポンジャ王の策略により、ポンジャ姫を妻に選ばない、ゲス、チャラ男、ヤンキーは、カスな成人男子なので、既に脱落した。残された勇者候補生は、たったの10人だった。


「どうする?」

「僕は普通にいいよ。」

「わかった、俺たちも一緒に行くぞ。」

「ありがとうございます。きっと、これからの旅は、1人では倒せない魔物も出てくるだろうし、人数は多い方がいいよね。」


そう、協調性にもタイプがある。臆病で金魚の糞みたいに後ろから付いてくるタイプと、協調性があるように見えて、自分がリーダーで主導権を握りたいタイプだ。ニは後者になる。


「よかったね、ニ。」

「そうだな。サン。」

「は、は、初めまして、二の双子の弟のサンです。」

「双子なんだ!?」

「そういえば、そっくりだ!?」

「よ、よ、よく言われます。」


2タイプの性格を作成した所で、すかさず双子の弟として登場。大人は要領よく話を進めていく。サンは控え目で緊張したがりだった。


「それでも4人しかいないんだな?」

「勇者候補生といっても、みんなライバルだから、みんなが仲良くという訳にはいきませんね。」

「まず武器防具屋から見に行ってみようか。」

「おお!」


10人いれば10通りの性格がある。同じ顔、同じ性格の者はいないだろう。1人くらいは宿屋や自宅に引きこもっていたり、魔王モヤイの手先が紛れているかもしれない。若しくは、闇に堕ちる勇者もいるだろう。


「いらっしゃいませ。何にしますか?」


僕たちは、武器防具屋に着いた。お店には最低限の勇者の旅立ち用の「高価な装備」「普通の装備」「錆びた装備」が売ってあった。


「俺は高価な装備にしよう。備えあれば患いなしってやつだ。」

「私は普通の装備で、サン、おまえは錆びた剣も持ってるし、錆びた装備でいいだろう。」

「は、は、はい。これで錆びた装備をコンプリートです!」

「おまえだったのか!? 錆びた剣を選んだ1人の英雄は!?」

「は、は、はい。そうです。私なんかには、錆びた装備がお似合いなんです。」

「・・・。」

「ハチさんは、何にするんですか?」

「普通の装備にします。」

「だよな。ハチは普通が大好きなんだよな。」

「はい。普通が大好きです。」


こうして僕たちは武器防具屋で買い物を済ませ。次に道具屋に薬草を買いに行くことにした。


「いらっしゃい。何にしますか? 薬草ですね?」


道具屋のおっさんが店の薬草を見せてくれた。薬草にも種類があるようで、「上限を超えて回復する薬草」「普通の薬草」「2分の1の確率で回復しない薬草」があった。


「みんな普通の薬草ですか?」

「いや、俺は上限を越えて回復する薬草にするぜ。おもしろそうだ。」

「僕は普通の薬草で。」

「は、は、はい。私は2分の1の確率で回復しない薬草にします。」

「いいの?」

「お、お、おもしろそうだから。」

「・・・。」

「こんな弟ですみません。」


謝るニをなだめながら道具屋を一同は去って行った。サンは控え目? というよりは兄より劣化したものを確信犯で選ぶ、もしかしたら愉快犯のような存在かもしれない。分かっているのは舌足らずということだ。


「よ~し、これで後は宿屋を決めるだけだな。」

「どの宿屋にしますか?」


人生の3分の1は睡眠である。宿屋も「高級ホテルな宿屋」「普通の宿屋」「潰れかけの旅館な宿屋。(露天風呂付き)」の3択だった。


「おまえら、宿くらいは高級ホテルに泊まろうぜ!」

「私は、これから高価な武器が出た時のためにお金を貯めたいので、普通の宿屋で十分です。」

「わ、わ、私なんかは、潰れかけの旅館な宿屋がいいです! 温泉に入りたいです!」

「僕は、普通の宿屋しか選べません。」


手持ちのお金、両親の職種、資産、家柄を除いても、4人いれば、これだけの性格で選択するものが違う。


「どうする? まず、ハチは普通しか選ばないから、普通に全員が泊るか、バラバラに泊るかだ。」

「バラバラにしましょう。子供ではないので、大人として、自分が泊りたい所に泊まることが大切です。」

「そうしよう。」

「わ、わ、わかりました。」

「では、明日の朝に冒険に行く準備をして、ここに集合ということで。」

「じゃあな。」

「バイバイ。」

「また、明日です。」

「お、お、温泉だ!」


こうして、それぞれは自分が選んだ宿屋へと向かって行った。これが友達関係、横一列の選択である。もしもギルドや、パーティーに入っていれば、自分の泊まりたい宿屋には泊まれない。リーダーや仕切りたがりが勝手に決めるからだ。


「いや~、高級はいい。普通なんか好きな奴の気持ちが分からない。」


イチは高級なホテルの宿屋に泊まり、1人きりなので、心の声が口から出た。本音というヤツだ。人間1人にならないと、本心は口に出して言葉にはできない。恐らく親が金持ち設定か、借金地獄の浪費家である。


「ろ、ろ、露天風呂・・・。」


サンの潰れかけの旅館な宿屋。(露天風呂付き)は、お風呂が外にあり、屋根が付いていないだけだった。潰れかけなのでお風呂を整備する資金が無いのだ。しかし、それでも1人きりになったサンは、活き活きとした表情をしていた。


「改めまして、私はニ。ハチ、よろしくお願いします。」

「僕の方こそ、よろしく。」


ハチとニはツインルームを選び、同じ部屋に泊まることにした。明日からの旅の準備をしながら話をしている。


「ハチも今後のことを考えて、節約のために普通の宿屋を選んだんだろ?」

「え? 違うよ。僕は普通の成人男子だから普通を選ぶことにしているだけだよ。」

「そうなの?」

「出る杭は打たれるっていうだろ? 高級とか、潰れかけとかには興味が無いんだ。僕は平和に暮らしたいだけなんだ。」

「ふ~ん、そういう考え方もあるんだ。」


ニはハチの考え方に感心したフリをする。しかし、心の中では「こいつ向上心がないな。まるでサンみたいだ。使えない弟を2人も持つのは嫌だなあ。」これがニの本音である。人間が他人関心を持つ時は、悪いイメージを持っている。


「おやすみ。」


こうして勇者候補生の普通の旅支度が整ったのでした。


つづく。



「???」


成人男子が主役・・・。しかし、エロを入れるとアニメにはならない。男が読むのは、主人公が強い。女が読むのはイケメン。ラノベの購買層が30才前後。大人が読む? ドロドロ系か? 人死ぬ系か? または普通か?


たぶん「異世界転生、禁止」にした時点で、主流のラノベ層の読者は切り捨て。「君の名」みたいに一般大衆に読んでもらえて、大ヒットが見込める、ふざけていない一般大衆向けの作品に「ワンランクアップしてほしい!」ということか?


う~ん。下手に女性キャラを出して、エロや恋愛にはしない方がいいんだろうな。1話5000字は超えたが、2シーンだけだ。アニメで1話分にもならない。

大人って、有名作家、話題本、それ以外に何を読むんだろう?


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る