泥の中にも根を張って生きる

奴隷、というなかなかに扱いにくい題材に真っ正面から取り組んだ歴史ものの意欲作にして力作。
それも、「アルスラーン王は奴隷解放してエライ!」というタイプではなく、奴隷視点で奴隷の実態を生々しく描いています。
それでいて、生々しすぎて読者が不快を覚えるようなこともなく、ちゃんとバランスを保っているのも上手い。
そして驚くべきは読みやすさ。
本作品のように描写に厚みのある作品というのは、えてして読みやすさとトレードオフになってしまうケースも多いのですが、本作品は実際に読んでみれば分かる通り、さくさくページを進めることができます。
話数は多い。でもそれは、うわーなげー、とうんざりする要素ではなく、それだけたくさんこの物語を楽しめる数だということです。

その他のおすすめレビュー

kanegonさんの他のおすすめレビュー652