▼主人公の家族


寝ていた俺の上にちょこん、と座っている双子の兄、晴と妹の雨。合わせて晴雨におはようと挨拶をしてベッドから出る。

それから、クローゼットから3年間掛けっぱなしにしていたスーツを取り出す。しばらく着ていなかったから、多少サイズが合わないかと思っていたが、そんなことはなく丁度良い着心地だ。

鏡を見ながら身だしなみを整え、後ろのベッドにまだ座っている双子に「似合う?」と、問いかける。

「んー、変な感じ!!多分、かっこよくなった!!」

「……………多分、かっこいい。」

晴と雨にかっこいいと言われ、嬉しかった俺は、調子に乗って両脇に二人を抱えて朝ごはんを食べにリビングへ向かう。

都合のいいことしか聞こえないのだ。


リビングに行くと、既にテーブルの上には朝食が並んでいた。

パンに目玉焼き、ベーコンなどのいかにも朝食って感じの朝食だ。

両脇で暴れていた晴雨を降ろすと、晴と雨は瞬間移動したように自分の席に座っていた。

「あら。久しぶりのスーツ、多分、かっこいいじゃん。」

妻がさっきの双子と同じことを椅子に座りながら言った。

そしてまた『多分』は聞こえていない俺は調子に乗り、

「これからは毎日このかっこいいパパを見ることになるんだぞ〜。」

と、机に座って先に食事を始めた3人に、言ってみたが、無視された。

とりあえず、俺も朝食を堪能しよう。

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