第52話 学ぶこと

小説の書き方を知りたい人がよくやることがあって、プロにその方法を教えてほしいと言うこと。


どんなにその人が書ける人であろうと、プロはその人の実力を見ながら、押さえていてほしい基本を教えることになる。


基本などどうでもいいと、その人がせっかく基本中の基本を教えても、勝手に他の方の「自分」がいいと思う方法を抜いて、他の方の教える方法を混ぜてしまうと、結果的に何も役に立たない方法を身につける結果になり、基本も学べないまま、よくわからず、ロジックだけこね回すことになる。


プロが自分独自に身につけて理解したロジックは、そのプロだけが理解していることなので、教わったとしても一朝一昼夜でその人のものになるとは限らない。


はっきり言うと、教わったからと言って簡単に理解できるわけではないと言うこと。


だけど、教えてと言われれば、そのことも理解した上で、気前のいいプロは自分のロジックを教えてくれると思う。


学ぶものは、本当に基本の基本だけでもいい。たとえ、そのプロの方法だとしても、そのときは理解するまでそのプロの方法を試し続ける方がいい。


なぜなら、そこから物事が始まるから。


一つのロジックを学び、身につけて理解すれば、他のロジックもたやすく理解できる。


理解できれば、そこから自分の他に学んだ方法を試すこともできるくらいには、理解力も深まっている。


個性がなくなるとか言う前に、他人のロジックを理解して操れるようになるほうが、結果的に上達の道が早い。


理解できないまま、様々なロジックを覚えていっても、それは単なる知識だ。


知識は蓄積しても実践できなかったり本当に理解していなければ宝の持ち腐れになる。


基礎知識は完璧に身につけた上で、そこから自分なりにアレンジしていく。


学んで理解し身につければ、自ずと出力を思うようにできるはずだ。


まずは学ぶこと。基本を覚えて実践すること。一人のプロに学んだら、まずはその基本を押さえて身につけること。


それだけでかなり上達できる。


自己流でOKという人はそれでいい。大概の人は自己流だったりする。それでもなにがしかの方法をどこかで学び身につけている。


魔術は呪文を覚えたからと言ってすぐに使えるわけではない。そのロジックを理解して初めて呪文は有効化する。


それと同じ。テクニックやロジックは呪文。実践するためにはそれに見合った基礎力を身につけた方がいい。

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