第43話

 まずは最近難しいなぁと思ったことを……。


 現在わたしは乙女系ロマンス小説と呼ばれる女性向けの官能小説を書いているわけだが、こういう小説はまずは男女のイチャラブが重視される。

 どれだけ胸がキュンとなるかときめくか、ヒーローがいい男過ぎて悶絶できるか、ヒロインが鼻につかない共鳴できる娘か、ということが重要だ。(これに関してわたしが書けている書けてないは別として)


 そこにテイストとしてヒストリカルだったり現代ものだったり土台ができる。王道というものがあるがここでは割愛する。と言うか王道もいろいろとあるけれどシンデレラみたいなものとかが王道である。


 で、細かく行くとジャンルがある。俺様だったり、ファンタジー、歳の差、それぞれ味付けを細かく付け加えていくわけだ。


 そこで今わたしが書いているのはオカルトの乙女系ロマンス小説だったりする。いろいろと大人の事情があるので細かな設定は書かないけれど、魔術系である。魔法使いではない。悪魔とか出る。出るので少しホラーでもある。


 でも、ホラーになってはいけない。怖く書いてはいけないのだ。なぜなら乙女系ラブロマンスだから。男女のイチャラブが中心でないといけなくて、ましてや怖いなど以ての外なのだ。


 で、ホラーが好きなわたしは冒頭をざっと書いてみた。ホラーの書き方というのがあるのだが、それに則った。そしたらけっこう怖くなってしまった……。わたしは怖くない。しかし法則として怖くかけている。これは乙女系ラブロマンスとしてまずいんじゃないだろうかと思い、担当さんに読んでもらって相談した。


 やはり怖かったらしい……。


 そこで、ホラーになってしまう法則をすべて削除することにした。カメラワークを大きなところから小さな部分へと移っていくとことか、如実な描写をあっさりと描写するとか。擬音を入れない。もしくは多様な形容詞を用いない。(この形容詞を多用するのはひとによって違う)あと、人から教わったのだが、名詞を入れる。格助詞は入れているけれど名詞を入れない場合不安定さが読者を不安というか気味が悪い居心地の悪い方向に持って行くというわけらしい。


 この中で何が一番怖くするかというとカメラワークだ。スプラッタやホラー映画を見てみるとよくわかるが、カメラワークは広角から対象をズームアップしていく。キャラクターの緊張する様子をじっくりと描写したうえで、次の場面でパンする。パンする方向はもちろん恐怖の対象だ。そしてまたパンしてキャラクターの怯える恐怖の顔を映す。昔のホラーやスプラッタはこういう感じのが多かった。遊星からの物体Xとかは手法が違うけれど……十分怖い。


 こういう表現は、乙女系ラブロマンス小説だろうが恋愛小説だろうが ご法度だということらしい。なぜなら、読者はイチャラブを読みたいのであって、誰かが無作為に死んだり殺されたりめちゃくちゃにされたりするのが読みたいわけではないからだ。


 というわけで、5000文字書いたうち2000文字削除した。描写も減らしてあっさりにした。それでも恋愛小説が好きでほかを読まない(ホラーが怖い)読者の方からしたら十分に怖いだろうと思う。


 以上がロマンス小説にホラーやオカルトを交えるのはけっこう難しい、ということだ。しかし、このなかに人外恋愛物は混じってない。吸血鬼や人狼や妖怪や神様はオカルトだがファンタジーくくりということのようだ。で、ファンタジーものはよほど作家の腕が立たないかぎり受けないということらしい。というわけでネタはあっても書けないのだった……。



 で、本題。最近ツイッターのタイムラインで見かけたこと。

「つまらない作品とはなにか」


 わたしにとってつまらない作品は冒頭からつまらない。読ませる努力が皆無な作品は一様につまらない。それは文章が下手とかうまいとかではなくて、合う、合わないのレベルからつまらないと思う。

 なので、他の人からしたら面白い作品かもしれない。


 あと、文章がすごくうまいけれど、全体的に味付けも山場も薄味で単調でつまらない作品がある。キャラクターがつまらない場合もある。濃い味付けをして目立つキャラクターを作ったと思っていたとしても、判子を押したように個性が埋没していたりするとつまらない。

 読んだ後に何も残らない作品は多分つまらないと言われるだろう。


 つまらない作品は文章が下手とかは関係ない。キャラクター設定や物語の作りこみが単調だったりありふれていたりすることでつまらないと思われてしまう。


 じゃあ、どうしたら面白くなるのか?


 わたしはキャラクターなら作りこむ。そのキャラクターの特徴や個性、長所短所、いろいろな癖、過去すべて考える。そして何より大事なのは筋の通った性格作りをする。ブレないようにする。そうすればキャラクターだけで話ができる。

 もしも、物語の構成であるならば、ジャンルに従う。アクションならバトルをしっかりと描く。描写を簡単にしない。映画を見ているようにかくだろう。ホラーも同じだ。推理モノならトリックや心理描写が重要になるかもしれない。推理モノも小道具とキャラクターがモノを言うかもしれない。ファンタジーならば言葉や文化やキャラクターなどに気を使う。

 色々なジャンルには約束事があるはずなのだ。その約束事をすっ飛ばして書いてしまうと物語はぶれてしまい単調もしくはげんなりしてしまって読むことがつまらなくなる。


 確かに物語設定や構成がしっかりしていても、演出がだめで面白くなくなってつまらない作品になることもあると思う。演出がだめなのは、起承転結がだめなのであって、下手な部類に入る。つまらないというのとは少し違う。面白くないだけだ。


 期待していたのと違っていたからつまらない。というのも違う。それは読者の期待が作品の出来具合よりも大きかった時に生じるつまらない、であって作品が面白くないというのとは意味が違う。


 面白くない と つまらない は似ているようで違う、と思う。


 さてみなさんはどうだろうか。面白くないとつまらないは同じ意味だろうか、それとも違うのだろうか。



 ※追記

 ちなみにわたしの小説は「面白い」わけではないようです……

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