7.あらすじ

 おはようございます。


 <風呂敷の広げ>方を説明するとか言ってしまい、今更青ざめている私です。


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 <風呂敷を広げる>という言い方は、一種の揶揄です。


 小説を書く上で、使う言葉なので、なかなか意味をつかみにくいと思います。


 以前、<風呂敷を広げた>ら、<風呂敷をたたむ>という話をしたと思います。(間違えて、閉じると言ってました。すみません。訂正しておきます)


 <風呂敷を広げる>とは、新しいエピソードを書く、もしくは<秘密>を書く(匂わす)、新たな謎の人物を登場させるなどを指します。


 <風呂敷をたたむ>とは、起こったエピソードに決着を付ける、<秘密>の謎を解く、謎の人物の正体を明かすなどを意味します。


 要するに、お話でやらかしたこと全てに、ひとつひとつ尻ぬぐいをしていく作業を指します。出したら拭く! 当たり前の作業です!


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 たまに、壮大な設定を広げておいて、そのままお話を終わらせてしまうことがあります。


 そうなると、その設定の謎の解き明かしに期待をしている読者は、肩すかしを食らい、ものすごく読後感が悪くなります。


 要するに簡単に言うと、恋をした主人公がすったもんだで告白するところまで来て、相手の返事を書かないで話を終わらせるようなものです。


 たしかに、謎を謎のまま終わらせる方法もありますが、高等技術ですし、それなりの小さな布石をちりばめさせて、読者がどういう風に受け取ってもいいようにしておく必要があります。そのためには、物語は繊細に作る必要があり、まず最初からそれは無理です。初心者には難しいでしょう。


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 <承>ではまず大きな<風呂敷を広げ>ます。お話を進めていく度に、小さな<風呂敷を広げ>ていきます。


 出来るだけすぐに小さな<風呂敷はたたん>でしまいましょう。<秘密>は早めに明かしてしまうことです。ずるずる引っ張らない方が良いと言うことです。


 最初に広げた大きな風呂敷は、<承>が終わって<転>に入ってから、思い切りたたんでしまいましょう。


 なぜなら、そこから<秘密>を全て解き明かした上での、大展開を持ってこなければいけないからです。


 読者の裏をかくことが出来たら成功です。


 そのためには上手に<風呂敷を広げ>、<風呂敷をたたんで>行くことが大切なのです。


 ですから、多くの<風呂敷>を準備する必要があると思います。特に長編になると非常に重要になってきます。


 短編であれば、一つ二つの風呂敷で十分面白いでしょうが、長編となると、一つ二つでお話を引っ張って行くには、やや荷が重すぎます。


 ちなみに短編とは原稿用紙10枚から40枚ほど。だいたい4000文字から10000字です。


 中編は50枚から100枚。約20000文字から40000文字。


 長編は100枚から250枚前後。およそ40000文字から100000文字です。


 大長編は250枚以上を指します。


 だいたいの目安なので、人によって解釈は異なります。


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「あの人が好き。告白して両思いになりたい」という風呂敷だけでは足りない場合と、大丈夫な場合があります。大丈夫な場合とはやはりお話が短いときだけです。


 掌編(2000文字ほど)のように短いお話で、一つの風呂敷を広げてたたむことが出来たら、立派にこれからもお話を書いていくことが出来る力があると思います。


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 さて、ここまで書いて気づいた方もいると思います。


 <風呂敷を広げる>とは<秘密>と同じ意味合いを持つのです。<風呂敷をたたむ>というのは<秘密>に対し、<なぜなの>を繰り返し、答えを与えることを指すのです。


 違う言葉で同じことを何度も繰り返し説明していたのです。


 これで、少しだけでも、<秘密>の重要性を理解していただけたら嬉しいです。


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 次回は、やってはいけない<風呂敷のたたみ>方について説明していきます。

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