5.あらすじ
おはよう、またはこんにちは。
今回は、<起>から<承>へ移るタイミングを書いていきます。
タイミングといっても、章分けしていたら、たいがい、見た目で<起><承>の区別は付きますけどね。
でも全てのお話が章分けされているわけではありませんから、書いている方がきちんと理解しておく必要があります。
ここは<起>ここから<承>なんていうふうに、読者は読んでません。
しかも、そういったことすら意識してないと思います。
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<起承転結>をもう一度おさらいしてみてください。
<承>とは、物事の起こり、動き出すはじめのことを指します。
上記のリンク先のように、ここで物事が展開したり大きな問題が生じることはありません。大きな問題はすでに<起>で起こっている方が良いでしょう。
<承>はあくまでそれまでの事柄を上手く<転>へ持っていくための下準備に過ぎません。
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登場人物達の抱える問題を少しずつクローズアップさせていくのもこの<承>の部分です。
<秘密>の風呂敷を広げていくのもこの<承>でしていきます。
小さな風呂敷はその都度開いては閉じていくように心がけつつも、お話の大筋に関係する風呂敷はおおっぴらに開いていきましょう。
閉じるのはそのつぎの<転>で少しずつしていきます。
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しかし、お話作りで<承>は地味に扱われやすいですが、実際は下積みの大事な部分であると言って過言ではありません。
すばらしい職人が下積みを地道に重ねて、初めてすばらしい技能を花咲かせるのと同じことなのです。
<承>が上手く機能しなければ、お話のあらゆる展開は全く機能せず、尻すぼみに終わるでしょう。
ですから、<承>の部分でお話の手を抜かないように気をつけねばなりません。
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しかし、実際どうすれば良いのか、ということはどのようなレクチャー本にも書いていませんし、私も具体的に話すことが出来ません。
それは教えたくないのではなく、感覚でつかむしかないからです。
技術としては上記のままですが、実際に書くことに関しては、書いてみないと分からないのです。
※追記
<承>で必要なものは、お話しを盛り上げていくための下準備です。それは階段を一段一段上っていくような盛り上がりを作るためです。
ラブコメなら、彼や彼女が相手への思いを告げられないままどんどん二人の仲が狭まっていく状態でしょうか。
ミステリーなら、少しずつ謎が生まれながらもそれが積み重なっていき、情報で話が大きくなっていく過程でしょうか。
ホラーなら、どんどん人が殺されたり不気味な事件が積み重なっていき、何かがわかりかけるところでしょうか。
物事を積み重ねていき、それが読者の気持ちを高めていく仕掛けを凝らすのが<承>です。
なので、<承>はどれほど長くてもいいのです。話の中で盛り上がりが必要であればいくらでも長くして構いません。それに意味があるなら、きっと次の展開に面白みや読者の感情を大きく揺さぶる現象を起こすからです。
ただし、同じことを積み重ねてはいけません。同じような出来事の積み重なりは読者を飽きさせてしまいます。進展がなければ、読者は大事な積み重ねの部分で読むことをやめてしまうでしょう。
そうならないために手を変え品を変えてお話しを進展させていく必要があります。
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さて、能の世界ではこの<承>を非常に大事なものと考えています。
<起承転結>として考えられているお話の骨子を、能では<序破急>というふうに考えています。
最近で言えば、エヴァンゲリオンの映画で、<序><破><Q>というのがあったと思います。
それは、上記の<序破急>の概念から付けられたタイトルです。
<序破急>を細分化すると、<序・破序・破破・破急・急>となります。
<破序>で<承>の風呂敷を広げ、<破破>で<承>の<秘密>を明かし、<破急>で<承>の風呂敷をたたむという内容になります。
あら、<転>がないわねって思いませんか? 大丈夫。<序破急>では<急>が<転>に値します。
そこで良く思い出してみてください。
例題として、以前<赤ずきん>のお話を出したと思います。
猟師が出てきて救われて赤ずきん改心。という部分が昔はなかったと、説明しましたね。
元々あった、オオカミに皆食べられておしまい、という流れは、この<序破急>なのです。
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なぜ、<起承転結>ではなく<承>が長く続く<序破急>を説明するかというと、お話の一番大事な部分が、<転>の次に<承>の部分だからです。<結>はお話に言い訳をする部分であったり、めでたしめでたしの後日譚であったり、実際あってもなくてもさほど問題ではなかったりするのです。
まさに<赤ずきん>で赤ずきんが改心したという部分に過ぎません。
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そう考えると、<承>をしっかり書き上げれば、<転>へつなげやすく、お話も面白くなっていくと思いませんか?
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では、次回は今回お話しした、<序破急>など、お話の骨組みの作り方について説明していきます。
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