4.あらすじ
今回は、<起承転結>の<起>を具体的にどのように始めるかという話をします。
別にたいしたことではないのです。
みなさん、やってみたら、ああそうかと納得できることだと思います。
では、簡単な例を出してみましょう。
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「桃太郎」
あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山に芝刈りにおばあさんは川に洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきました。
とてもおいしそうな大きな桃だったので、おじいさんにも食べてもらおうと、おばあさんは包丁で割ってみたところ、中から元気な男の子が出てきました。
(実際の昔話では桃を食べて若返ったおじいさんとおばあさんが二人で頑張って男の子を産むという内容なんですが、なぜか現代では桃から生まれたという破天荒な内容になりました。ちなみに桃で若返るというのは、中国の仙人郷の桃を食べると年を取らないとか何とか言う逸話から来たのではないかと言うことです(違ってたらすみません)
さてここまでがおそらく、<起>の部分に該当すると思います。
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<起>で重要なのは、お話の主要な人物はたいてい登場させておくと言うことです。
いつまで経っても主人公が出てこない話なんて、退屈だと思います。
主人公は早めに登場しても全く問題ないのです。
また、主人公に一番近しい脇役も早めに出しておきましょう。たとえ名前だけだとしても、読者に重要な役割を担っている人物であると言うことを印象づけると良いでしょう。
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<起>に関して気をつけないといけないことはこのくらいです。
あ、ほかに気をつけるべきことがありました!
登場する人物達の関係性や、これから起こる問題の<伏線>を書くことです。
<起>では、ほとんどが人物の魅力を書くことに終始してしまうかもしれません。
もしくはお話の問題になる出だしを書くかもしれません。
ミステリーで言えば、事件が起こってから死体が発見されるのと同じで、当たり前のことですが、死体が発見されてから事件が起こるわけではないのです。
事件もなく現れる死体はお話の役に立ちません。葬式をして終わります。しかし、死体に<秘密>があったとき、それが問題の<伏線>となり、お話が動き始めます。
ミステリーだって、死体が<秘密>に満ちていれば、お話の原動力になり得ます。死体から始まらなければ、犯行予告が、それに該当します。
どこかの島に招待されて、見ず知らずの人間が集まる。全く関連性のない人物達を招待した主は姿を見せないまま、不穏な雰囲気に人物達は包まれる。これは立派な<起>のシチュエーションですね。
主要人物は全て登場し、問題の<伏線>が張られ、事件が起こるのではないかという緊張感をはらんでいます。
ミステリーやサスペンスに限らず、コメディやラブロマンスでもそうです。
大失敗をやらかした主人公が登場し、それを突っ込む脇役が現れる。破天荒な展開と問題を持ち込み始め、やがて大きな大問題にもつれ込んでいく。
主人公の女性が大きな問題を抱えて、ある男性に会おうとする。その男性と女性との間には一筋縄ではいかない問題がある。それでもなお女性は男性に会うことを決意する。そして男性と女性は何らかの衝撃的な出会いをし、お互いの心に相手のことが焼き付いてしまう。
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どんな内容のお話であれ、世界設定や一人の人物の設定や、状況描写だけ延々書いても<起>にはなり得ないのです。
ちゃんと人物を登場させ、次に何が起こるのか、読者に示して、初めて<起>として機能するのです。
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では、次回は<起>から<承>へ移るタイミングを書いていきます。ほぼ<起>の説明かもしれないですけど、<承>へのヒントになるかもしれません。
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