爽やかさ一杯の鬼ごっこ

繊細で緻密な描写は、読み手を「智也のサドル」の世界へと誘います。離島で繰り広げられる自転車での鬼ごっこは、まるで島にいるみたいな臨場感がありました。
これは文章の力であり、技であると思います。
実に爽やかで、文字をすり抜けながら流れるような物語は、読み終わっても、頭から離れません。

ラストも見事で、プロの仕業かと疑いたくなるほどでした。
思わず、おいおいと、口から出たとか、出なかったとか。

若いころ、よく離島を訪れた時期があり、この作品に接して、船着き場のさりげない情景が目に浮んできました。
いや、いい作品でした。

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