第14話
【ジジイの見本】
さて、それでは、今回の商材である。
“九九ができないし、冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べるし、寝てる間に主人の髪の毛を切ろうとしてくるけど、料理、洗濯など完璧な家政婦を派遣する”
である。
なお、電話をかけるリストは、金持ちの豪邸で、家政婦がいない家ばかりとする。
さて、読者のみなさんなら、どのようにこの家政婦を派遣するかな?
必ず考えた上で、ジジイの見本を読むようにしてもらいたい。
それでは、ジジイの見本のはじまりはじまり〜。
「もしもし、こちらエヌチーチーコーポレーションの山田と申します。お忙しいところ申し訳ございません」
「はい?何でしょうか?」
「あのー、わたくしどもは、優秀な家政婦を派遣している会社でございまして。今回はそのご紹介でお電話でのご案内をしておりました」
「そうなんや。まあ、今のところ、嫁がやってるからなあ、掃除とか」
「お客様、奥様のご負担などを考えるとですね、お屋敷のお掃除は大変かと思われます」
↑“お屋敷”という言葉で家が広いことをくすぐる(^_^)
「いやいや、お屋敷なんて言うほどじゃないよ。はっはっはっ」
↑気を良くしている(^_^)
「いえいえ、お客様、お電話とっていただくまで、長かったですもの。やっぱりお家が広いとお電話とるまでに歩く時間が必要ですもんね」
↑さらに優越感を与える(^_^)
「いやいや、歩くのがとろいだけやわ。わっはっは」
↑“あっはっは”から、“わっはっは”に笑い方が変わった。気をよくしている証拠(^_^)
「お客様のお屋敷に比べたら、私の家なんて、犬小屋ですよ」
↑とどめだ(^_^)
「きょーっきょっきょっきょっ!犬から電話かかってきたぜーっ!きょーっきょっきょっきょっ!」
↑“きょーっきょっきょっきょっ!”という笑い声になった。もうチューリップ開いた状態(^_^)
「さて、お客様、わたくしどもの家政婦なんですが、元FBIの工作員でして、本当になんでもできる家政婦なんです。その家政婦を今回一ヶ月50万円で派遣してるんだワン!ワンワン!」
↑犬と思わせ警戒心を解かせる(^_^)
「きょーっきょっきょっきょっ!そんなに優秀でそんなに安いなんて、何か怪しいから、お前を保健所に連れて行く!きょーっきょっきょっきょっ!」
↑残忍な資本主義のブタの本性があらわに(^_^)
「いえいえ、お客様!じつは、そ、その、しょ、正直に申し上げますね。」
「な、なんや?」
「実は、う、うちの家政婦は、九九が、九九ができません!も、も、も!申し訳ございません!七の段が、難しいよってにーっ!うわあはあはあーん!あはーはーん」
↑泣きわめく(^_^)
「そ、そんなに謝ってくれるなんて、お前、ええやつやなあ」
「私の家政婦は、九九ができないばっかりにFBIをクビになりました。そして、今やその有り余る能力を、家政婦として発揮しておるのです」
「ほな、うちに来てよ!九九がでけへんぐらいかまへんがな」
↑思うツボ(^_^)
アホ(^_^)
親もアホ(^_^)
交渉成立(^_^)
「ありがとうございます。それでは、このたびは、九九ができないし、冷蔵庫の中の食べ物を勝手に食べるし、ご主人様が寝ている間に髪の毛を切ろうとしてくるし、余命一ヶ月の家政婦の派遣のご契約ありがとうございます」
↑後半は早口で言う(^_^)
「そんなきしょい家政婦いらん!」
↑たまたま客が人間不信のクソ野郎だったパターン(≧∇≦)
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