第15話 夢の片隅で

 夢の片隅で、私はいつもあの子と会う。少し哀しげで儚げなあの子の姿。でも、藍のはずなのに、藍は紺で、紺は藍だっていうの。


 でも、藍はここにいなくて、紺がいるの。


 もう、どうなっているのよ。分からない・・・。



「・・・・・・藍、どうして言ってしまったの?」

「・・・言わないと、白が壊れてしまうかもしれない。僕は嫌なんだ」

「本当に、そう思う?」

「いや、僕が・・・罪悪感に押しつぶされそうになるから、かも、しれない・・・」

「・・・・・・」

「分かってる。自分の為なんかで、僕たちの秘密を言ってしまって、馬鹿だって分かってるよ」

「・・・僕たち、もう一度元に戻る方がいいのかもしれない」

「けど! ・・・そうしたら、紺が消えることになる。それはだめだ」

「でも、二人が幸せになるにはそうするしかないよ」

 なんて哀しそう笑うんだ。僕が、会いたいなんて言ったから。



「会いたい、藍」


「会えない、白」


僕が、消えればいいのか。

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夢よりも 燈 哉 @akarikana

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