第3話 せずにはおれまいよ

弟が禁欲的生活を強いられて、早くも根を上げているらしい。

煙草を吸わない。これだけのことができないでいる。その上小遣いを要求するようになり、やっても菓子パンやらに消えるのだから意味が無いともいえる。


しかし、家族としての立場からは、やらない訳にはいくまいよ。


私は小銭を数えて、600円の大きい硬貨を弟にやり、反応を待ってみたが何もせず、煙草を差し出してきたので「バーカ」と言って襖を閉めた。

あいつには煙草しかない。

もうしばらくして、小銭が貯まったら郵便局に行って大きいのと替えてもらう。


こんな日々の小さな楽しみすら、ぶりっこかまとと!と言う人がいて、じゃああんたなら病食らった弟をほっとけるのかよ!と聞いてみたい。


とりあえずこの子は近い内働きに出る。

それまでの辛坊である。


辛坊。どこまでも続く。

だがそれも、どこかで極めてしまえばきっと愉楽にとって代わるだろう。

我が家のトイレは既に電源ダウンして久しい。父がいない間はこたつも点けない。


4ちゃんねるはやはり良い番組をしてくれる。超お人好し移動販売の人がリークされている。

二か月に一回の年金で何が出来るか。夜9時に帰宅するそうだ。

売り上げも4000円も満たないのだそう。


こんな私に何が出来るか。人のことより自分のこと。

何が出来るのだろう。何が。


人の役に立つかー。ボランティアとか当たってみたけど車が無けりゃー意味が無い。

はー、とため息が出るどうしようもない日常である。


とりあえず、墓参りでも行きますか。

なーんて影響受ける訳でもないが、そんなこと考えてみる最近である。

洗物でも何でも、自分の分だけで終わらすわけにはいくまいよ。


人の分までやって始めて仕事なのである。

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滅私奉公 夏みかん @hiropon8n

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