第2話

「んん…」

静かな朝。その静かさに違和感を感じて、私は目を覚ます。

真冬のお布団というトラップに抗いながら、カーテンにおおわれた窓の方へ。そして、勢いよくそれを開く。

「なんとまあ…」

そこに広がっていたのは、一面の銀世界。昨夜から今日にかけて今年最強の寒波がおそってくるとは聞いてたけど、これはなんと言うか。

「田舎、恐るべしだね」

多分、外にいたら笠こ地蔵が雪だるまになるレベル。地蔵菩薩が達磨大師になったらランクは下がっちゃうけど。


そして、学校に行かなきゃ、と考えてすぐにそれはもう考えなくていいと思い出す。

「…忘れなきゃね」

まだくっきりと左腕に赤く残る傷痕をなでて、私はそう口にする。でも、この傷痕を見るたびに私はあの事を思い出すんだろう。

「元気かな、あの子」

不意に、あの子の笑顔が浮かぶ。あの子はいまどうしてるんだろう。まだ、気にしてるんだろうか。あれは私のせいなのに、別れるまで、あの子はずっと悲しそうな顔をしていた。

「あと十分かあ…」

休み時間まで、あとそれだけ。その頃に、メール、打ってみよう。

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