第3話 十二神将が登場しました。

僕は部室に行った。そこには詠歌さんと秀歌さんが座って優雅にお茶を飲んでいた。

「優雅のお茶をおんでいる所すいませんが、契約の儀の立会人になっていただけますか?」

「分かったわ」

そう言うとティーカップを置いて陣に乗った。

「我、式神と契約を望む者なり。我第一式、狐子の体を媒介としそこにいる九尾狐を我の手中に入らせたまえ。名は高香こうか

そう言うと、僕の足元に熱いものを感じた。

「それにしても、何で真君はこんなに式神との契約ができるのかな」

そう詠歌さんが言うと秀歌さんがその質問に答えた。

「それは式神多使役体質だね。先祖が大物で体質が一致した時に起こる体質の事だよ。まあ、真君は違う意味でそんなに出来るんだろうけど」

「式神多使役体質……」

僕は少し現実味がなかった。いつもなら、何か疲れた感じがするが全然そんな感じはないのだ。


今日も招集がかかり、僕は不界に出ていた。僕以外の人もそれぞれの用事で僕しかいなかったのだ。

「真様、本日は誰を使うのですか?」

「えっと、じゃ今日は緒月で」

「っしゃー。やっと出番か。いつも狐子が指名されてるもんな」

緒月を選んだのは理由がある。緒月も僕の式。だから、大物に会うかもしれない。その時、緒月が傷つけられるのは嫌だ。それに、狐子ばかりを指名していてはどうにもならない。

「狐子と高香は緒月のフォローで」

「はい」

「童が若者弱者のフォローなどやりたくないわ」

そう言うと、狐子が高香を睨んだ。

「なんじゃ?童は本当の事を言っただけ。真には迷惑をかけて無かろう」

「その行動が迷惑そのものだ」

僕は2人を止めてそのまま歩いて行った。

「高香」

「ん?」

僕は頭をポンポンと叩いた。

「なっ!」

「そう気負わないで。緊張するのは分かるけど、狐子と喧嘩をされちゃ、困るんだ」

高香は顔を真っ赤にして俯いていた。つまり僕が言った事は高香にとって図星を突かれたという訳だ。

「……真様。来ました」

僕は正面を見た。すると、大きな穢れを纏った人間が歩いて来ていた。

「あんな穢れ、童は見たことない」

「俺もだ」

「私も」

3人があっけらかんとしていると、穢れを纏った穢人は何をを言っていた。

「やばい!」

僕は護符を構えて呪文を唱えた。

「ナウマクサンマンダ、センダマカロシャダソワタヤウン、タラタカン、マン!」

僕がそう唱えた後、上級結界を作り風の様なものを跳ね返した。

「大丈夫、高香」

「あ、ああ」

僕は結界を解き、全員に命令を出した。

「皆、今回は全員を指名するよ」

「はい!」

そう言うと、狐子達は走って行った。

「おりゃ!」

緒月が剣を振り、穢人に当てた。だが、その剣は跳ね返された。

「ぐっ!」

緒月は穢人に殴られて飛んで行った。

「緒月!」

狐子と高香もボロボロだ。

やばいやばい。どうすればいい?狐子達を守る為には。

その時、僕はある事を思い出した。それは僕が小さい頃、父さんに教わった言葉だった。

――幼い頃――

「ナリバラマン、シルバナリナンバ、タルバナンバ、タカラマン」

「お父さん。それって何?」

「これは大きな力を得る呪文だよ。でも、真。これは絶体絶命の時にしか言っちゃ駄目だぞ」


父さん、これって絶体絶命だよね?だったら使ってもいいよね。

僕は思いっきり息を吸った。

「我は安倍清明の子孫なり。我に力を貸し、その姿を現し給え。ナリバラマン、シルバナリナンバ、タルバナンバ、タカラマン!」

そう言うと、僕の前が光った。目を開けると、その前には人が12人立っていた。

「……やっと呼び出したか。って、まだガキじゃねぇか」

「ね。でも、可愛いじゃない!清明は叔父さんって感じであんまりいいとは言えなかったし」

「え、えっと、もしかして十二神将?」

そう言うと、男性が口を開いた。

「そうだ。で、お前が俺達の主だ」

僕はそれ程驚かなかった。

「って、それどころじゃない。えっと、ちょっと手を貸してくれないかな?」

「当たり前だ」

そう言って男性は頭を掻いていた。めんどくさがり?

「取り敢えず皆はあの穢人を叩いてほしい。それでその後、僕が浄化するから」

そう言うと、目つきが悪そうな男性が僕を睨んで言った。

「お前の様な子供があの穢人を倒せるか」

「まあ、頑張るよ」

僕は笑顔で答えた。そして、すぐに僕は呪文を唱えた。

「ノウマクサンマンダ、バサラダンセンダマカラシャダソワタヤ、ウンタラタカンマン」

「す、凄い。こんな霊力」

「清明でもあるかないかだ。流石、清明の子孫と言うべきか」

僕の額には汗が流れていた。正直きつい、きつ過ぎる。

「オンソバニソバウンキャリカダキャリカダウン、キャリカダヤウンハッタ。オンキリキリ、バサラバジリホラ、マンダマンダウンハッタ!」

僕が詠唱を終えると、皆は退いた。そしてすぐに僕は出した。

そしてすぐに消えた。僕は流石に疲れてふらついてしまった。だが、すぐに誰かに受け止められた。

「ったく、お前は危なっかしい奴なんだな」

「あはは、それ皆に言われる」

そして僕は気を失った。


目を覚ますと、そこは部室だった。

「真様!」

「狐子。僕、どうしてここに?」

そう言うと、さっきの人達が出て来た。

「俺達が運んだんだよ」

「あ、そうだったんだ。ありがとう」

僕は頭を下げた。

「清明の子孫は皆こんな感じなのか」

「そう言えば君達の名前ってなんて言うの?」

そう言うと、思い出したかのような顔をした。

「ああ、俺は騰虵とうだだ」

「俺は朱雀すざく!よろしくな!!」

「あたしは大陰たいいんよ。よろしくね」

「私は六合りごうです。よろしくお願いいたします」

「俺は玄武げんぶ。あーあ、こんな男っけのあるやつが主かよ」

「無駄口を叩かないで下さい。これは清明様が決めたことなんですから。私は大裳たいもです。以後、お見知りおきを」

「私は白虎びゃっこ!君に会えて嬉しいよ!!」

「私は天后てんこうと申します」

「僕は天空てんくう。よろしくね、真様」

「……勾陳こうちん

「私は貴人きじんと申します」

そう言うと、皆は後ろで腕を組んでいる男性を見た。

「おい、青龍。挨拶しろよ」

「そーですよ、真様に失礼です」

その男性は頭を掻きながら、僕の前に立った。

「ちっ。俺は青龍だ。言っとくが、お前事を認めた訳じゃないからな。勘違いするなよ」

「は、はあ」

僕はあいまいな答えを返した。そして、僕の波乱な人生に新たな人物達が登場したのだった。

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手違いで試験をした所は陰陽師学校でした。 伊月朱李 @tomokakichi

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