第2話〜どうやら鬱になったらしい?〜

「はぁ……」

今日何度目になるか解らない溜息を吐いて机に頬杖を付く。


──いつまで経ってもまともに魔法の一つも繰り出す事が出来ない、出来損ないの俺。


「‘’魔王”って言ったって所詮親父の後継ってだけだしな……」

はぁ……っとまた溜息を吐く。


「何で俺だったんだろう……」


誰にも言えなかった、その言葉。言ってしまえば自分の存在価値が無くなる気がして。


──だって……


「こんな最弱魔王、要らないじゃん……」


──魔法の一つまともに繰り出せない最弱魔王。果たしてそれは必要に値するのだろうか?


はぁ……と知らず知らずのうちに溜息を吐いて机に突っ伏す。もう頬杖を付く気力さえ残っていなかった。この後また家事して世話して……


──何で俺なんだろう……何で四天王の誰かとかじゃないんだろう……?


やるべき事に手が付かずその事だけただただ考える。考えても考えても答えなんて出ないのに。


──答えが、欲しい。


幾ら手を伸ばしても答えには辿り着けなくて……もう疲れた。考えたくないのに考えてしまう。


──お願い誰か……俺に答えを下さい。


声にならないSOSを上げて無意識に真っ青に染まった呑気な蒼空そらに手を伸ばす。どうやっても届かないのは解ってる。だけど……どうしようもなく惹かれるんだ、自由に手を広げているあの憎たらしいほど青々しい蒼空に。あの時は▪▪▪▪真っ赤な紅蓮色に燃えていたあの蒼空に。


「御免な、親父……」


──始まってすぐに病んだ最弱魔王の運命やいかに!?

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